アーティゾン美術館で開催中の展覧会、
“ABSTRACTION 抽象絵画の覚醒と展開”に行ってきました。
こちらは、アーティゾン美術館の開館展以来、
2度目となる3フロアをまるまる使った大規模展覧会で、
抽象絵画の覚醒(=起原)とその展開を網羅したものとなっています。
出展作品は、なんと約250点!
そのうち約150点は、アーティゾン美術館の収蔵品ですが、
ジョージア・オキーフの《オータム・リーフⅡ》(写真右)を含む・・・・・
実に95点が新収蔵の作品なのだそう!
ということは、アーティゾン美術館は、この展覧会を開催するために、
新たな作品をコレクションしていた・・・と言っても過言ではないでしょう。
さらに!
国内外の美術館や個人が所蔵している抽象絵画の名作の数々も大集結。
さらにさらに!
津上みゆきさんや鍵岡リグレアンヌさんら、
7名の現代アーティストたちの新作も紹介されています。
いうなれば、抽象絵画の最前線を観ることもできるのです。
出展されている作品の中にはもちろん、
抽象絵画の父カンディンスキーの作品や、
もう一人の抽象絵画の父モンドリアンの作品も。
また、アメリカ抽象表現主義を代表するポロックや、
カラーフィールドを牽引したマーク・ロスコの作品もありました。
他にも、クプカ、ドローネー、デ・クーニング、
フォートリエ、ザオ・ウーキー、スーラージュ、草間彌生…etc
いちいち名前を挙げていたらキリがないくらいに、
抽象絵画のレジェンドたちの作品で会場が埋め尽くされています。
「これぞ抽象絵画の展覧会の決定版!」と断言できる展覧会でした。
これほどの規模の展覧会を開催できる日本の美術館は、おそらく今はアーティゾン美術館だけ。
まさに横綱相撲。
その圧倒的な力をまざまざと見せつけられた展覧会でした。
ちなみに。
「抽象絵画は苦手・・・。」という方も、どうぞご安心を。
抽象絵画が誕生する前、抽象絵画誕生のきっかけとなった、
その起源として、印象派のモネや後期印象派のセザンヌの作品も展示されています。
それに加えて、野獣派(フォーヴィズム)の作品も。
↑こちらは、新収蔵品の一つとなるアンドレ・ドランの《女の頭部》。
とても1905年の作品とは思えないほど、色遣いが現代的な印象を受けました。
YOASOBIのミュージックビデオに出てきそうな印象すら受けました。
また、抽象絵画をテーマにした展覧会ではあるものの、
今回参加した7名の現代作家の中には、写真家の柴田敏雄さんも含まれています。
柴田さんは、抽象を創作のテーマに作品を制作している写真家。
そう、抽象は絵画だけにあらず。
抽象写真という新たなジャンルも誕生していたのですね。
ちなみに。
展覧会のオーラスを飾るのは、横溝美由紀さん。
彼女自身は、画家ではなく、彫刻家であることを公言しています。
一見すると、抽象絵画のように見える平面作品は・・・・・
実は、油彩絵の具を付着させた糸をピンと張って、
それを弾くことで線を描く、いわゆる“墨出し”の方法で制作されたもの。
普通に考えたら、絵画のようなも気がしますが、
横溝さん的には、それもまた彫刻作品なのだそう。
・・・・・彫刻ってなにかね?
考えれば考えれば、頭が混乱しそうですが、今回は抽象の展覧会。
具体的なことを考えるのは、やめておこうと思います。