昨年2022年10月8日にオープンした軽井沢安東美術館に行ってきました。
(正確には、2022年10月8日13時オープンとのこと)
こちらは、日本初となる、いや、世界でも初となる、
レオナール・フジタこと藤田嗣治の作品だけを展示する美術館です。
創設したのは、実業家の安東泰志さんと妻の恵さん。
約20年前のある日、軽井沢のギャラリーで偶然目にした藤田嗣治作品に一目惚れし、
それ以来、藤田の作品を積極的に蒐集しては、自宅の壁に飾って楽しんでいたようです。
そんな藤田嗣治コレクションを、
もっと一般の方に楽しんでもらいたい!
そうした想いから誕生したのが、軽井沢安東美術館なのです。
そんな軽井沢安東美術館のロゴマークは、
Musée Andoの『M』と『A』の2字を組み合わせたもの。
このロゴマークは、館内のいたるところに、
隠れミッキーのように(?)使われていました。
ちなみに。
建築のコンセプトは、「自宅のような美術館」とのこと。
といっても、一般家庭の自宅ではなく、
都内にある「安東家の自宅」のイメージだそう。
安東さんのご自宅同様に、中庭を囲むような建物となっています。
さらに、展示室にも自宅の要素を取り入れているそうで。
いわゆるホワイトキューブといった白い壁ではなく、
展示室ごとに、緑や黄色といった壁紙が使用されていました。
また、一番広い展示室には・・・・・
シャンデリアや革張りのソファーも設置されていました。
ソファーはもちろん座ってもOK!
もちろん一度も行ったことはないですが、
安東家にお招きいただいた気分を味わえました。
と、建物を味わうだけでも、足を運ぶ価値は十分にありましたが。
(併設されたHARIO CAFEも足を運ぶ価値アリ!)
肝心の藤田嗣治コレクションに関しては、
正直なところ、そこまで大きな期待はしていませんでした。
というのも、言うまでもなく、藤田嗣治は美術界を代表する巨匠の一人。
その重要作品の多くは、秋田県立美術館やポーラ美術館など、
国内外の多くの美術館に所蔵されて、ミュージアムピースとなっています。
そう考えると、約20年間にわたって集めているとはいえ、
さすがに個人のコレクションが、美術館に匹敵することはないはず。
なんてことを思っていたのですが、
実際に美術館で安東コレクションを観た瞬間、
思わず顔面が乳白色・・・もとい、蒼白となりました。
いやいや、想定していた何倍も、コレクションの質が高かったです!
今でこそ、軽井沢安東“美術館”に飾ってありますが、
美術館に飾ってあってもおかしくない作品が、これまで個人宅に飾られていただなんて。
しかも、1点や2点に限らず、200点近くも!
今年一番の驚きと言っても過言ではありません。
ちなみに。
乳白色の裸婦像や装丁の仕事が観られたのも良かったですが、
個人的には、藤田の貴重な初期の作品が観られて感激しました。
特に、写真右の作品。
おそらく、というか、ほぼ間違いなく、
シャガールの影響を受けていると思われます。
独自の作風を確立した藤田嗣治ですが、
やはりパリに渡った当初は、手探り状態だったのでしょうね。
それから、教会をイメージした展示空間も感動的でした。
椅子に座ってしばらくここに滞在していたら、
まるで、本物の教会にいるかのような錯覚を覚えました。
危うく、もう少しで懺悔してしまうところでした(←?)。
なお、先述のシャンデリアや革張りソファーのある赤い展示室では、
現在、“藤田嗣治 猫と少女の部屋”という企画展が開催されています。
藤田嗣治のモチーフの2大巨頭ともいうべき、
猫と少女が描かれた作品だけを紹介するものです。
猫と少女。
カワイイで溢れている部屋となっていました。
藤田ファンはもちろんのこと、
藤田にそこまで興味がない人でも、
目じりが下がってしまうこと必至の展示空間です。
ちなみに。
それらの作品の中には、幻の作品ともいうべき《猫の教室》(写真左)も。
こちらは、藤田が終戦後に日本を離れ、
パリに向かう前に約1年間過ごしたNYで描かれた作品です。
さすが猫だけあって、生徒たちは自由奔放。
中には床で寝転んでいる生徒までいる始末です。
人間だったら、完全に学級崩壊ですが、
猫の姿なので、むしろ愛らしく感じられます。
ちなみに、細かいところなのですが、
教室内の時計を見ると、8時35分を指していました。
いくらなんでも、授業への集中力が切れるの早くない??
┃会期:2023年3月3日(金)~ 9月12日(火)
┃会場:軽井沢安東美術館
┃https://www.musee-ando.com/event/detail/