■岸辺露伴 ルーヴルへ行く
監督:渡辺一貴
原作:荒木飛呂彦
出演:高橋一生、飯豊まりえ
2023年製作/118分/G/日本
相手を本にして生い立ちや秘密を読み、
指示を書き込むこともできる特殊能力「ヘブンズ・ドアー」を備えた漫画家・岸辺露伴。
青年時代、露伴は淡い思いを抱いていた女性から、
この世で最も邪悪な「最も黒い絵」の噂を聞いた。
それから時がたち、その絵がフランスのルーブル美術館に、
所蔵されていることを知った露伴は新作執筆の取材と、
かつてのかすかな慕情のためにフランスを訪れる。
しかし、美術館職員に「黒い絵」の存在を知る者はなく、
データベースによってヒットしたその保管場所は、
今はもう使われていないはずの地下倉庫「Z-13倉庫」だった。
(映画.comより)
「NHKで放送されていた『岸辺露伴は動かない』は観ていましたし、
何より、本物のルーヴル美術館で大規模なロケを敢行したそうですし。
それは何があっても観に行かなくては!
ということで、早速観てきました。
テレビ版の時から思っていましたが、
高橋一生さんは岸部露伴にしか見えません。
まさに神キャスティングです。
さて、ここからは本編の内容に関して。
ネタバレにならないようにお伝えするつもりですが、
これからこの映画を観に行く予定の方は、なるべく読まないほうがいいかもです。
まず何より一番気になったのは、なかなかルーヴル美術館に行かなかったこと。
『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』というタイトルながら、
かれこれ開始から1時間近くは、ルーヴル美術館は登場せず。
ルーヴル美術館目当てで観てる僕としては、
ルーヴル行く行く詐欺(?)にあった気分でした。
ただ、それだけ焦らされただけあって、
肝心のルーヴル美術館のシーンは軽く鳥肌モノ!
実物の《モナ・リザ》や《サモトラケのニケ》が、岸部露伴とともに、
スクリーンに映った時には、「オォ!」っと思わず声を上げそうになりました。
クライマックスのルーヴル美術館の地下倉庫で、
物語の鍵となる“最も黒い絵”の正体が明らかになるわけですが。
面白いには面白かったけど、冷静に考えてみると、
ルーヴル美術館に所蔵されているという設定の意味がほとんどなかったような。
江戸川乱歩や横溝正史の世界観に近く、ルーヴルまで行かずとも、
むしろトーハクあたりでやったほうが、よりリアリティが出た気がします。
ちなみに。
ルーヴル美術館から帰ってきてからの急展開が・・・正直ゴニョゴニョ・・・。
岸部露伴 江戸時代へ行く?なぜ??
まさに絵に描いたような“取って付けたような”展開でした。
ルーヴル美術館の場面で終わっておけばよかったのに。
短編だった原作を2時間尺にしたかったのは、理解できますが、
だからといって、急に時代劇のパートを30分くらい増やさなくても。
誰の思い付きか知りませんが、
「せっかくなら時代劇やろう!」との提案があった時に、
スタッフの誰一人として、「だが断る」と言わなかったのでしょうか。
あと、細かいことですが、
美波さん演じるルーヴル美術館の職員が、
やたらと“ルーヴル”の発音が良いのが、妙に気になりました。
「ルーヴル」でなく、「ルーフー」。
本場はそう発音しているのですね。
(星3つ)」
~映画に登場する名画~