現在、横浜のそごう美術館では、
彫刻界のトップランナー・大森暁生さんの大規模展覧会が開催されていますが。
この夏、千葉市美術館では、
現代彫刻界のもう一人のスーパースター、
三沢厚彦さんによる大規模な展覧会が開催されています。
その名も、“三沢厚彦 ANIMALS/Multi-dimensions”。
これまで、横須賀美術館や富山県美術館など、
日本各地で“三沢厚彦 ANIMALS”という展覧会が開催されてきましたが、
この千葉市美術館で開催中のものは、その巡回展ではなく完全オリジナルの展覧会。
「Multi-dimensions」、つまり「多次元」をテーマに、
千葉市美術館全体を使って、200点を超える彫刻と絵画が展示されています。
(注:展示室内は一部撮影可。写真撮影は、特別に許可を得ております。)
三沢さんの代名詞ともいうべき作品で、
タイトルにも採用されている「ANIMALS」シリーズの作品群はもちろんのこと、
流木などを集めて制作された90年代の初期作品「コロイドトンプ」シリーズや、
アトリエに散らばる端材を構成し、絵の具でカラフルに彩った「Strut」シリーズといった、
「ANIMALS」だけじゃない作品も紹介されており、
いい意味で、三沢さんのイメージが変わる展覧会となっています。
今回の最新展の見どころは何と言っても、
近年手掛けているというキメラの作品群です。
これまで発表されていたキメラは、四足歩行でしたが、
今展で初公開される最新版のキメラは、なんと2足歩行ver.に!
「キメラが立った!」
と思わず、声を上げてしまうこと間違いないです(←?)。
ちなみに。
四足歩行の旧キメラ(?)のほうは、
小田原でのグループ展で目にしているのですが、
今回初めて、翼と翼の間にアマビエが彫られていたことに気が付きました。
突如として現れて、秒でブームが去ったアマビエ。
久しぶりにその姿を目にして、もはや懐かしさすら感じました。
なお、当然のことのように、最新作のキメラからもアマビエは姿を消しています。
代わりに翼と翼に彫られていたのは・・・・・
こちらをガン見する謎の女性!
めちゃ怖かったです。
伊藤潤二の『富江』かと思いました。
そうそう。怖かったと言えば、クマだらけのスペースも。
三沢さんの作品はただ可愛いだけじゃなく、
ちゃんと野性味もあるので、ちゃんと危機を感じました。
この空間に足を踏み入れた瞬間、一瞬、本気で、
“これが最近話題のアーバンベア(都市型クマ)!”と思ってしまったほどです。
ちなみに。
会場には作品のキャプションは用意されていません。
そのため、展示室内を注意深く見ておかないと、
作品をうっかり見逃してしまうかもしれないのでご注意を。
さらに、「多次元」な展覧会だけあって、
展示室以外でも、展覧会が展開されています。
全館、見逃し厳禁です。
基本的に、展覧会を紹介する際には、
なるべく早めに足を運んでほしいとは思っているのですが。
今展に限っては、そこまで早く行かなくてもいいような。
というのも、会場の一角に、「中庭部屋」なるスペースが設けてられており、
期間中、三沢さん本人がここに滞在しに来ては、作品の制作や修復をするのだとか。
つまり、会期が進めば進むほど、
新作が増える可能性が高いわけで。
かといって、会期が終盤に近づけば、混むわけです。
どのタイミングで訪れるのがベストなのか、非常に悩ましいところ。
いつ行くかは、皆さま自身の動物的な勘にお任せいたします。