Quantcast
Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
Viewing all articles
Browse latest Browse all 5005

救いのみほとけ お地蔵さまの美術

$
0
0

ちょうど1年前の今頃、根津美術館では、

阿弥陀如来に関する収蔵品を一挙蔵出しする展覧会、

“阿弥陀如来 浄土への憧れ”が開催されていました。

そして、根津美術館では現在、その続編ともいうべき、

“救いのみほとけ お地蔵さまの美術”という展覧会が開催されています。

 

(注:展示室内の写真撮影は、特別に許可を得ております。)

 


今展でフィーチャーされているのは、「お地蔵さま」こと地蔵菩薩。

根津美術館のコレクションの中から、地蔵菩薩に関する収蔵品が一挙蔵出しされています。

 

 

 

それらの中には、初公開の作品も多々ありました。

まさに、お地蔵様様な展覧会です。

 

なお、冒頭で紹介されている《地蔵菩薩像》も初公開品。

 

《地蔵菩薩像》 絹本着色 日本・鎌倉時代 14世紀 根津美術館

 


実はこちらの《地蔵菩薩像》と、
奈良国立博物館が所蔵する重要文化財の《地蔵菩薩像》を観比べてみると・・・・・

 

 

 

細部に至るまで、ほぼ一致しているそうです。

つまり、この姿が当時の地蔵菩薩のスタンダートだったと考えられているのだか。

 

ちなみに。

地蔵菩薩の「地蔵」という名前は、

を自分の体内に包する(=内部に持っている)に由来するそう。

実はめちゃめちゃ巨大な仏様だったのですね?!

そんな大地を蔵する地蔵菩薩に対して、

月や星、空を蔵しているのが虚空蔵菩薩です(写真左)

 

image

 

 

それゆえ、日本に伝わった当初は、

地蔵菩薩と虚空蔵菩薩はセットで扱われていたそうですが。

地蔵信仰が浸透していくに連れ、虚空蔵菩薩との人気格差が広がっていったそう。

地蔵菩薩にコンビ時代(?)があったことは、今ではほとんど知られていません。

ビートたけしとビートきよしみたいな感じでしょうか(←??)。

 

 

さてさて、今回出展されていた作品の中で、

個人的に特に印象に残っているのが《矢田地蔵縁起絵巻》

 

重要美術品《矢田地蔵縁起絵巻》 紙本着色 日本・室町時代 16世紀 根津美術館蔵

 

 

奈良の矢田寺の本尊である地蔵菩薩のご利益を紹介する絵巻です。

 

 

 

描かれているのは基本的に、地獄の情景。

「死んだ後、こんな目に遭いたくないですよね?でも、ご安心を!

地蔵菩薩を拝むだけで、あなたの罪が消えますよ。」

そんな感じのことが全編を通じて描かれています。

ちなみに、左に書かれている文字にご注目。

『十一月十九日 三万五千罪滅』とあります。

これは、11月19日に月詣でをすると、

3万5000の罪が無くなるという意味なのだとか。

何そのラッキーチャンス?!

てか、3万5000も罪を犯すってどういうこと?

1年365日として、100年間毎日休まず罪を犯す感じでしょうか。

なお、《矢田地蔵縁起絵巻》によると、もっともラッキーなのは、12月24日。

この日に月詣でをすると、10万5000の罪がなくなるそうです。

デーモン小暮の年齢よりも、罪を犯してるヤツは、

チャラにさせず、大人しく地獄に行っていただきたいものです。

 

それからもう一点印象的だった絵巻が、《地蔵菩薩霊験記絵巻》

地蔵菩薩のさまざまなご利益を紹介する絵巻です。

 

《地蔵菩薩霊験記絵巻》 紙本着色 日本・南北朝時代 14世紀 根津美術館蔵

 

 

展覧会で紹介されていたのは、

鳥取県の僧が夢のお告げで栃木県の山を訪ねた場面。

 

 

 

そこで地蔵房という老僧に出逢い、宿を借りたのだとか。

実はその地蔵房の正体が、地蔵菩薩だったのでした。

その正体を現す衝撃のシーンがこちら↓

 

 

 

脱皮するように登場するんかい!

出現の仕方が、気持ち悪いにもほどがあります。

てか、そもそも地蔵房って!

最初からヒント出しすぎでしょ。

 

 

さて、「お地蔵様」といえば、

やはりイメージするのは、絵画よりも立体物。

今回の展覧会では、仏画でなく仏像としての地蔵も多く紹介されています。

 

 

 

中でも注目したいのが、根津美術館蔵の《地蔵菩薩立像》

 

重要文化財 快助《地蔵菩薩立像》 木造彩色 日本・平安時代 久安3年(1147) 根津美術館蔵

 

 

根津美術館では珍しく、露出で展示されています。

実は、こちらの《地蔵菩薩立像》は・・・・・

 

image

 

 

銘のある地蔵菩薩像としては最古の作品だそうで。

重要文化財にも指定されています。

顔立ちは優しげ。

少しだけ、チョコプラの松尾さんに似ている気がしました。

 

 

なお、こちらの展覧会は、展示室1と2で開催されていますが、

根津美術館の所蔵する地蔵が観られるのは、その2部屋だけに非ず!

根津美術館の庭園のあちこちにも、

お地蔵さまがいるのでそちらもお見逃しなきように。

 

image

 

 

 

 

1位を目指して、ランキングに挑戦中。
下のボタンをポチッと押して頂けると嬉しいです!

Blogランキングへ にほんブログ村 美術ブログへ


Viewing all articles
Browse latest Browse all 5005

Trending Articles