今回、ご紹介するのは、原美術館で開催中の “MU[無]─ペドロ コスタ&ルイ シャフェス” です。
ペドロ コスタ&ルイ シャフェスは、
映画と彫刻という異なる表現領域で活躍する2人のポルトガル人アーティスト。
決して、 『五番街のマリーへ』 を歌ったグループではありません。
(それは、ペドロ&カプリシャス!)
ペドロ・コスタとルイ・シャフェスは、特に二人で活動するユニットというわけではないですが。
プライベートでも仲が良いこともあって、
今回の原美術館を舞台にしたコラボレーション展の開催に至ったのだそうです。
ちなみに、タイトルの 『MU[無]』 とは、
二人が敬愛する日本の映画監督・小津安二郎の墓碑に刻まれている一字 『無』 に由来するのだとか。
さてさて、映画と彫刻という異色のコラボ展は、
一体、どんな風に仕上がっていたのでしょうか?
美術展を観た上での僕の率直な反応は、
「MU~~~~~~・・・・・・」
とにもかくにも、感想に困る美術展でした。
美味くもなく不味くもなく、無味。
例えば、最初の展示室。
入り口を塞ぐかのような形で、
ルイ・シャフェスの 《私が震えるのを見よ》 という彫刻作品が設置されています。
こちらの選挙の投票所にしか見えない作品が、彫刻作品だというだけでも戸惑いを隠せませんが。
この彫刻作品とともに展示されているのが、
ペドロ・コスタによる映像インスタレーション作品 《火の娘たち》
こちらは、FUNKY MONKEY BABYSのCDのジャケット写真にしか見えない作品でした。
で、これらの2つの作品を同じ部屋で展示することで、どうなるか。
原美術館曰く、
『光と影、動と静―相反する要素が対決し、生み出される空間、時間』
とのこと。
そ、そうなのですね・・・MU~~・・・
また、別の部屋では、ルイ・シャフェスの 《私は寒い》 と、
ペドロ・コスタの 《ガザル ダ ボバ地区》 という映像作品が、
静かに対決中。
このように、わざわざ同じ部屋で置いたことで、何か共鳴しているのでしょうか。
僕には、何も共鳴しているようには感じられませんでした。
まさに、無。
強いて思ったことを挙げるなら、
ルイ・シャフェスの彫刻作品のせいで、ペドロ・コスタの映像作品が観づらいな、と。
まぁ、そういう意味では、対決なのかもしれません。
ちなみに、この2つの展示室以外は、ペドロ・コスタの作品と、
ルイ・シャフェスの作品は、
それぞれの部屋で独立した状態で展示されています。
個人的には、こちらの部屋の方が、まだ好きでした。
ただ、前から薄々感じていましたが、
原美術館の美術展は、 コアな美術ファンでなければ、楽しめないものが多い気がします。
その上、美術の見方がわからない人に対する配慮は、ほとんど無し。
“わかる人だけ、わかればいい” 感が強いのです。
今回の美術展も、作品に対する説明は、ほぼ無く、
ペドロとルイというマニアックな2人の美術作品を、フツーの方が楽しめるのかは、はなはだ疑問。
正直に言って、今回の美術展は、最初から最後まで、僕の心に響くものがありませんでした。
もう少し解説があれば、違ったのでしょうが。
ともあれ、あくまで個人的な感想としては、
「入館料として支払った1000円が “無” になってしまったなァ」 という感じ。
星も無。
あまりに難解な美術展で、常に、 『?マーク』 が浮かんでいました。
・・・あ、無から 『?マーク』 は、生まれたのか。
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MU[無]─ペドロ コスタ&ルイ シャフェス
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