森美術館の “会田誠展:天才でごめんなさい” に、行ってまいりました。
いま最も注目されている日本の現代アーティストの一人である会田誠さんの個展です。
もちろん、僕も会田誠さんのことは、以前より注目しており、
美術館で個展が開催される日を、今か今かと待ち望んでいたのですが。
その待望の初の美術館での個展のタイトルが、 “会田誠展:天才でごめんなさい” 。
自分で、 『天才』 と言っちゃう人ほど、
えてして天才でないことのが多いので、期待値はグンと下がっていました。
・・・・・・・・が。
“会田誠展:天才でごめんなさい” を、実際に観た上での率直な感想は、
「うん。面白い!」
でした。
こちらこそ、ごめんなさい。
切腹する女子高生の姿をキラキラに描いた絵があるかと思えば、
《切腹女子高生》 2002年アクリル絵具、ホログラムフィルム、透明フィルムに出力
119× 84.7 cm 渡井康之氏蔵 Courtesy:Mizuma Art Gallery
空爆されたマンハッタンの上空をゼロ戦が飛ぶという戦争画風の屏風絵もあり、
《紐育空爆之図(戦争画RETURNS)》 1996年
零戦CG制作:松橋睦生 高橋コレクション蔵 Courtesy:Mizuma Art Gallery
・・・かと思えば、滝にスクール水着女子がいっぱいのアキバ系男子受けしそうな絵もあり、
《滝の絵》 2007-10年 アクリル絵具、キャンバス
439×272cm 国立国際美術館蔵、大阪 Courtesy:Mizuma Art Gallery
・・・かと思えば、宇宙空間に漂うウ○コの姿を写実的に (?) 描いた絵もあり。
《スペース・ウンコ》 1998年 油絵具、アクリル下地、綿布、パネル
230×330cm 個人蔵 Courtesy:Mizuma Art Gallery
絵画作品以外にも、 「自分の風貌が似ているから。」 という単純な理由で製作された、
《日本に潜伏中のビン・ラディンと名乗る男からのビデオ》 という映像作品をはじめ、
立体作品、パフォーマンスアート、インスタレーションアート…と、何でもござれなのが会田誠のアート作品。
しかも、特筆すべきことに、そのどれもが、基本的には、くだらない!
ただし、 (おそらく) 本人は、真面目に “くだらなさ” を追及していると思われるので、
「ふん。くだらない作品だな( - -)」
という感じではなく、
「くだらねー (笑) !!!」
という感じ。
深夜番組のようなノリのくだらなさなのです。
そんな、いい意味で、くだらない作品群が、
あの森美術館の広い会場を埋め尽くしているのですから、これは、とっても驚異的な美術展です。
しかも、一つとして同じ “くだらなさ” はないのですから、
よくぞまぁ、こんなにも、手を変え品を変え、 “くだらなさ” を生み出せるものだと、脱帽モノです。
脱帽と言えば、会田誠さんだけでなく、森美術館にも脱帽しました。
というのも、今回の美術展では、《巨大フジ隊員vsキングギドラ》 を筆頭に、
1993年 アクリル絵具、アセテート・フィルム 310×410 cm
高橋コレクション蔵、東京 Courtesy: Mizuma Art Gallery
会田さんの18禁作品ばかりを集めた前代未聞の 『18禁部屋』 があるのです。
18歳未満の方、ごめんなさい。
展示してある作品は、正直、どれも好きにはなれませんでしたが (嫌悪感を抱くものもありました)
こうしたチャレンジングな姿勢は、大好きです。
この 『18禁部屋』 があるために、カップルで訪れると、ビミョ~な空気が流れることは必至 (笑)
親子で訪れると、気まずい空気が流れることも必至です (笑)
そんな美術展を、クリスマスや年始年末にぶつけてきた森美術館には、脱帽するより仕方ありません。
ともあれ、 『18禁部屋』 が存在するだけに、コソコソと一人で訪れることをオススメします。
こんなところも、深夜番組っぽいノリの美術展と言えましょう。
さてさて、ここまでの記事を読んで、
「くだらなそうだし、 『18禁部屋』 なんてあるなら行かなくてもいいや。。。」 と思っている、そこのアナタ。
会田誠さんの作品は、ただ単に、くだらないだけでもエロいだけでもありません。
実は、彼のアート作品には、きちんと日本美術の源流が流れているから侮れないのです。
例えば、初期の代表作である 《あぜ道》
1991年 岩顔料、アクリル絵具、和紙、パネル
73×52cm 豊田市美術館蔵、愛知 Courtesy: Mizuma Art Gallery
こちらの作品は、東山魁夷の傑作 《道》 へのオマージュ。
また、夥しい数のスーツ男子の死体 (?) が積み上げられている 《灰色の山》 には、
2009-11年 アクリル絵具、キャンバス
300× 700 cm タグチ・アートコレクション蔵 制作協力:渡辺 篤 Courtesy: Mizuma Art Gallery
不思議と怖さが感じられず、まるで山水画を見ているかのような落ち着きや風情すら感じられてしまうほど。
さらに、今回の美術展のための新作 《信柱、カラス、その他》 は、
見た瞬間に、長谷川等伯の 《松林図屏風》 を連想してしまいました。
会田誠さんの新たな代表作になりそうな名作なので、是非、会場でご覧くださいませ。
(画像は、ありません。あしからず)
もちろん、日本美術を知らなくても楽しめるとは思いますが、
日本美術を知っていたら、より楽しめるのが、会田誠さんのアート作品。
そんな知的好奇心をくすぐるあたりも、深夜番組っぽい気がします。
つまり、総じて、深夜番組っぽい美術展。
結論が乱暴でごめんなさい。
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会田誠展:天才でごめんなさい
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