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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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ダラ バーンバウム

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先日、表参道を歩いていたら、プラダ青山の入り口前に、

巨大なカラフルな何やらが置かれているのに気が付きました。

 

 

 

どうやら、こちらは現在、金沢21世紀美術館で、

大々的な個展が開催されているアレックス・ダ・コルテの作品とのこと。

なんでもアレックス・ダ・コルテは2020年より、

「プラダ ガレリア」のハンドバッグのディレクションを担当しているそうで。

そのキャンペーンの一環として、この目を惹く作品が設置されているようです。

 

と、その先に、ふと目をやると、“ダラ バーンバウム”なる文字が!

アレックス・ダ・コルテではないアーティストの展覧会が開催されている模様です。

せっかくなので、立ち寄ってみることにしました。

 

 

 

ダラ・バーンバウム(1946~)

正直なところ、彼女の名を存じ上げなかったのですが、

アメリカを代表するビデオアートの先駆者の一人なのだそうです。

今展には、そんな彼女の選りすぐりの作品が4点出展されています。

まず紹介されていたのが、《Kiss the Girls: Make Them Cry》という作品。

 

 

 

1979年に制作された作品ゆえ、

モニターは液晶でなくブラウン管です。

そこに映っていたのは、かつてアメリカで放映されていた人気長寿番組、

『ハリウッド・スクエアーズ』から選んだ画像を切り貼りし、ディスコ曲を併せた映像。

 

 

 

映像や音楽こそ、時代を感じずにはいられませんが、

編集やリミックスのセンスは、今の眼で観ても古臭さは感じませんでした。

 

 

続いて紹介されていたのは、1981年に制作された《New Music Shorts》

こちらの作品は、普段は一般客は入れない個室スペースに展示されています。

 

 

 

宇宙船のような不思議なスペースの壁から、

初めて目にするタイプの不思議なモニターが生えていました。

 

 

で、そこに映し出されていたのが、

1970年代末にNYで起こったアングラな音楽ムーブメント、

ノー・ウェイヴのライブ映像を切り貼りした作品です。

 

 

 

これまた映像自体は時代を感じたのですが、

縦長の画面だったのは、現代を予感させるものがありました。

 

ちなみに。

もう一つの個室では、ブルックナーの交響曲をテーマにした作品

《Bruckner: Symphony No.5 in B-Dur》(1995)が展示上映されています。

 

 

 

近未来すぎるモニターが気になりすぎて、

ぶっちゃけ、作品の内容はそこまで入ってきませんでした(笑)

 

最後に紹介されていたのは、2011年に発表された近作《Arabesque》

 

 

 

こちらは、ドイツロマン派を代表する作曲家のロベルト・シューマンと、

その妻でピアニストだったクララ・シューマンの夫婦にスポットを当てた作品です。

4つの画面に映し出されているのは、

シューマン夫婦を描いた映画『愛の調べ』のスチル画像と、

YouTubeに投稿された演奏動画です。

シューマンが捧げた「アラベスク ハ長調 Op.18」と、

クララが夫に捧げた「3つのロマンス 第1曲 Op.11」の映像が交互に流されています。

彼らはおしどり夫婦として描かれることが多いそうですが、

実際は、クララは売れない作曲家の夫と8人の子どもを支えるため、

自身のピアニストとしての活動を、たびたびセーブしていたのだとか。

そういう時代だったといえば、それまでですが、

きっと今なら炎上案件、特に女性が黙ってないでしょう。

ところが、不思議なことに、バーンバウム調べによると、

YouTubeには「アラベスク ハ長調 Op.18」の演奏動画は数多く投稿されているものの、

クララの「3つのロマンス 第1曲 Op.11」を女性が演奏していた動画は1件だけだったとか。

そんなジェンダーバランスの悪さを可視化した作品のようです。

 

 

ちなみに。

余談ですが、今展のメインビジュアルに採用されている、

《Kiss the Girls: Make Them Cry》に登場していたこちらの女性。

 

 

 

彼女が、ダラ・バーンバウムなのだとばかり思い込んでいたのですが、

解説によると、番組に出演した“知名度が底辺まで下がった女優”なのだそうです。

なんて残酷な表現・・・。

知名度って底辺まで下がることがあるのですね。

ともあれ、この展覧会を機に、この女性の顔が売れて良かったです。

 

 

 

 

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