過去に、2013年と2017年それぞれに、
深海をテーマにした特別展を開催した国立科学博物館。
今年2023年は、範囲をもっと広げて(?)、
“海―生命のみなもと―”という特別展が開催されています。
「海と山、どっちが好き?」と聞かれたら、
即答で「海!」と答える身としては、実に気になる展覧会。
早速、海の日に行ってきました。
さてさて、海を巡る今回の展覧会。
その冒頭で紹介されていたのは、意外にも、
小惑星探査機「はやぶさ2」の縮尺模型でした。
宇宙展でなくて、海展なのに??
今では、地球の7割を占める海。
しかし、実は、地球が誕生した際には、海は存在してなかったそう。
では、その大量の水はどこから来たのか?
宇宙から隕石によってもたらされたという仮説があるのだそうです。
その仮説を補強することとなったのが、
「はやぶさ2」が持ち帰ってきた小惑星リュウグウの砂。
その中から水が見つかったのでした。
一粒の砂から世界がわかる、とはまさにこのことですね。
というように、知ってるようで知らない海についてのあれこれを紹介する今展覧会。
海が広い分、内容も多岐に渡っているため、
どうしたって、テキストの量も多くなっていました。
情報の海に溺れないように、くれぐれもお気を付けくださいませ。
なお、テキストをそんなにしっかり読まなくても、
原寸大の模型や標本がたくさん展示されているので、
眺めているだけでも、十二分に楽しめます。
それらの中には、シーラカンスの標本や、
日本が誇る4500m級無人探査機「ハイパードルフィン」も。
なんと、どちらも実物!
つまり、この展覧会の期間中、
ハイパードルフィンを使っての調査は出来ないということ。
ハイパードルフィンにとっての夏休みです(←?)。
また、意外なところでは、こんなものも展示されていました。
こちらは、とあるマッコウクジラの歯です。
そのマッコウクジラとは、今年1月に、
大阪の淀川河口近くに迷い込んだあのマッコウクジラ。
「淀ちゃん」です。
骨格標本にこそなりませんでしたが、
このように歯は採取されていたのですね。
ちなみに。
今回紹介されていた海の生物の中で、
特に印象に残っているのは、メガマウスザメです。
サメと言えば、凶暴な歯、という印象がありますが。
メガマウスザメには、そういった歯は見当たりません。
口の中が、スリッパの底みたいな感じになっていました。
なんでも、プランクトンを主食としているため、
メガマウスザメの歯は小さく、ヤスリ状になっているのだとか。
パペットにしたいサメ第1位です(←?)。
続いて印象的だったのが、こちらのトクビレ。
『モンスターハンター』とか、
『バイオハザード』とかに出てくる類いのビジュアルです。
こんなウソみたいに、ヒレばっかりの魚が、
実在しているのかと、半信半疑だったのですが。
トクビレの別名は、ハッカクとのこと。
食べたことある魚でした。
今展で紹介されていた中で最もインパクトがあったのは、
2016年に駿河湾で採取され、2021年に新種認定されたばかりの深海魚。
その名も、ヨコヅナイワシです。
2020年までに採取されたヨコヅナイワシは、わずか7体のみ。
SSSレアな魚です。
なお、そんなヨコヅナイワシは、
セキトリイワシ目セキトリイワシ科に属するそう。
相撲好きの魚類研究者が、名付けたに違いありません。
そうそう、生物の分類といえば、
今展でもっとも衝撃だった情報は、
ホタルイカの分類に関する事実でした。
ホタルイカは、ホタルイカモドキ科に属するのだそうです。
・・・・・・・ん??
いや、科の名前に採用されているなら、
ホタルイカモドキのほうが、もはやホタルイカで、
ホタルイカと呼ばれているほうが、ホタルイカモドキなのでは??
考えれば考えるほど、頭がこんがらがってきました。