この秋、駒場の日本民藝館で開催されているのは、
“村田コレクション受贈記念 西洋工芸の美”という展覧会。
ここ近年、日本民藝館に寄贈されたばかりの、
村田コレクションをまとまった形で紹介する初の展覧会です。
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております。)
村田コレクションとは、故村田新蔵氏と妻の洋子氏が、
長年かけて蒐めた西洋を中心とする工芸品のコレクションで、
そのジャンルは、陶器に木工、金工と実に多岐に渡っています。
とは言え、コレクションされた工芸品の、
そのテイストには、一貫して通じたものがありました。
例えば、こちらの展示ケースに飾られていたのは、ガラス工芸のコレクション。
いい意味で、どのガラス工芸も、ゆる~い印象でした。
いい意味で、端整ではない、といいましょうか。
いい意味で、サントリー美術館で展示されることはなさそうでした。
あくまで、いい意味で。
新収蔵されたコレクションなのに、
西田さん夫妻がコレクションしたものなのに、
以前から日本民藝館の収蔵品だったような。
不思議な親和性を感じました。
ちなみに。
コレクションの幅は広くはあるものの、
特に目を惹いたのが、木製の椅子のコレクション。
しかも、特に子供用の木製の椅子が多かったです。
おそらく、村田ご夫妻は、
積極的に子ども用の椅子を集めていたのでしょう。
あまり・・・というか、人生でほぼ一度も、
子ども用の椅子に注目したことはなかったですが、
改めて、今回まとまった数を観て、その可愛らしさにキュンとしました。
子どもがいないのに、父性本能が刺激されるものがありました(笑)。
ちなみに。
本館だけでは展示しきれなかったようで、
毎月第2・3水曜日と第2・3土曜日だけ公開される、
西館(旧柳宗悦邸)でも、木製の椅子の一部が展示されていました。
もし、スケジュールが合うようでしたら、
西館も併せて展示されることをオススメいたします。
木製のもので、椅子以外で印象的だったのが、
19世紀イギリスで使われていたという洗濯板です。
キャプションが無かったら、
日本のものだと信じて疑わなかったことでしょう。
いかに地域は違えど、洗濯板として、
辿り着く形はこれ以外にないのかもしれませんね。
なお、イギリスといえば、こんなアイテムも。
描かれているのは、ウィリアムⅢ世なのだそう。
イングランド王とは思えない、ゆるさです。
しかも、この鉢の上に、シチューとか盛り付けられていたのかも。
イングランド王を何だと思っていたのでしょう??
さらに、王族モチーフの陶器と言えば、こんなものもありました。
描かれているのは、チャールズ3世とのこと。
とはいえ、シチュエーションがよくわかりません(笑)。
チャールズ3世が、学芸会で木の役でもやっているところなのでしょうか?
完全なるゆるキャラです。
最後に、村田コレクションの中で、
特に印象的に残ったものをご紹介。
18~19世紀のオランダの貯金箱です。
パッと見では、わかりづらいですが、豚の形をしているそう。
貯金箱と言えば、なぜか豚型。
そのルーツは、実はオランダにあったのですね。