現在、天王洲のWHAT MUSEUMでは、
“TAKEUCHI COLLECTION「心のレンズ」”が開催されています。
これまで、WHAT MUSEUMでは
精神科医の高橋龍太郎さんをはじめ、
桶田俊⼆・聖子夫妻や、大林剛郎さんといった、
日本を代表する美術コレクターのアートコレクションを紹介してきました。
今回紹介されているのは、TAKEUCHI COLLECTION。
CMでお馴染みの株式会社ビズリーチの創業準備期に参画し、
現在は取締役CTOを務めている竹内真さんのコレクションです。
武内さんがコレクションを始めたのは、5年くらい前からとのこと。
抽象画に惹かれることが多いそうで、
コレクションには抽象画が多く含まれています。
それらの中には、北京出身のアーティスト・許寧(シュ・ニン)の作品も。
若手アーティストの登竜門の一つ『アートアワードトーキョー 丸の内』で、
2020年度にグランプリを受賞した今注目の気鋭のアーティストの一人です。
離れて観る分には、ただのカラフルな抽象画(?)ですが。
近づいて観てみると・・・・・
目がたくさん!
それも、中世の西洋絵画の肖像画を思わせる目の描き方。
勢いでグワッと描かれた作品かと思いきや、
じっくり鑑賞してみると、実は、緻密に繊細に描かれていることがわかります。
観れば観るほど、いろんな表情が見えてくる。
まるで万華鏡のような作品です。
それから、個人的にもう一つ印象的だったのが、
ポーランド出身のヴィルヘルム・サスナルによるこちらの作品。
今までに出逢ったことがないタイプの作品で、
どういう風に表現したらよいものやら、絵の前でだいぶ葛藤してしまいました。
その時の心の声を再現するとこんな感じです↓
これは抽象画なのか?いや、具象の要素もあるな。
でも、あれは、何だ?蛇口?パイプ??
わかりそうで、よくわからないな。
緑の太いストロークは絵で描かれているよね?
そうわかってはいるんだけど、何かうねうねと動いて見えるような。
全体的につかみどころのない絵だなぁ。
う~ん。この絵について語れる気がしない。。。
アートテラーとして潮時なのかなぁ。
そろそろ転職をしたほうがいいのかなぁ。
どれどれ、転職サイトを見てみようか?すごいな、ビズリーチ!
これ以上、続けていたら、CMのあの女性が出てきそうなのでやめました。
と、それはさておき。
サスナルの絵の前に置かれているベンチも、実はTAKEUCHI COLLECTION。
シャルロット・ぺリアンによる《カサド用収納付きローベンチ(モーリタニア)》です。
竹内さんは名作家具もコレクションしているそうで、
家では、名作家具に座りながら現代アートを眺めているのだとか。
それゆえ、今展では家具と現代アートを取り合わせて展示しています。
特に印象的だったのが、書斎をイメージした展示空間。
あまりに違和感なく調和していて、
いい意味で、現代アートが現代アートっぽくないといいましょうか。
一般的な美術館やギャラリーで飾られている時の、
いかにも美術品、という印象とは違って、あくまでインテリアの一部という感じ。
この一角だけ、匠大塚に見えました。いい意味で。
ちなみに。
家具のコレクションの見せ方として圧巻だったのが、
ピエール・ジャンヌレがデザインした椅子を使ったインスタレーション。
インドの都市計画チャンデガールのために作られた名作椅子、
フローティングバックチェア21脚(もちろん本物)で構成されています。
背もたれがまるで浮いているように見えることから、
その名がついたフローティングバックチェアが、本当に浮いていました。
フローティングバックチェアが、
本当にフローティングして展示されるとは!
ピエール・ジャンヌレもインド人もビックリしていることでしょう。