今年2023年は、手塚治虫の『ブラック・ジャック』の連載開始から50年目の節目の年。
それを記念し、六本木ヒルズ52階の東京シティビューでは、
現在、“手塚治虫 ブラック・ジャック展”が開催されています。
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております。)
『ブラック・ジャック』は言わずと知れた、医療漫画の金字塔。
歴代漫画発行部数ランキング(2023年現時点)において、
いまだ6位にランキングしているという伝説的な漫画です。
手塚治虫最大のヒット作にして、
代表作と言っても過言ではないこの漫画ですが、
当初は4、5回ほどの毎回読み切りの短期連載の予定だったそう。
というのも、世は空前の劇画ブーム。
少年漫画で人気を博した手塚治虫は、すっかり過去の人のような存在に。
手塚は終わった。
そう、オワコン扱いされていたのです。
さらに、経営するアニメーション制作会社『虫プロダクション』も倒産。
手塚治虫は人生最大のスランプ、人生最大のピンチに陥っていたのです。
さて、短期連載の打診を受けた手塚治虫は、
兼ねてより温めていた医療漫画を描くことに決めます。
ブラック・ジャックは無免許の医師ですが、
実は、手塚治虫自身は医師免許を持っていました。
なお、先祖に当たる手塚良仙も、
幕末から明治にかけて活躍した医者で蘭学者だったそう。
かくして、馴染みのあった医療の分野を題材にした漫画の連載がスタート。
しかし、少年誌で大人の外科医を主人公にした漫画は、当初はほとんど受け入れられず。
読者による人気投票は、ほぼ最下位だったそうです。
ただ、当時の編集長は、この斬新な漫画に可能性を感じ、連載の継続を決定。
回を重ねるごと徐々に人気が高まり、
連載開始から1年経った頃には、人気投票上位の常連作品となっていたそうです。
さて、展覧会では、そんな『ブラック・ジャック』の原画が500点以上集結!
しかも、140話分すべての原画が勢ぞろいしています!
「ブラック・ジャック曼陀羅」と名付けられた展示空間は、圧巻も圧巻。
原画の持つパワーと、圧倒的な情報量に、けおされました。
いい意味で、ノックアウト。
いい意味で、グロッキー状態に。
原画の中の患者よりも先に、
自分がブラック・ジャックに治療して欲しいくらいでした。
ちなみに。
個人的に一番印象に残っているのは、こちらの展示
昭和の時代のニュース映像に併せて、
『ブラック・ジャック』の原画の数々が紹介されていました。
これによって、『ブラック・ジャック』の作品世界に、
当時のニュースや流行などの世相が、いかに反映されていたか。
そのことがより一層理解できました。
もし、手塚治虫が令和に生きていたら、
きっとコロナを題材にした回を描いていたのでは?
そんなことを含め、いろいろ考えてしまいました。
あと、40歳になったので、自身の健康についても。
改めて『ブラック・ジャック』を読みたくなるとともに、
健康診断にも行かなくちゃ、と思うこと必至の展覧会です。