Quantcast
Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
Viewing all articles
Browse latest Browse all 5005

戸張孤雁の芸術展

$
0
0

現在、中村屋サロン美術館では、

“戸張孤雁の芸術展”が開催されています。

 

(注:展示室内の写真撮影は、特別に許可を頂いております。)

 

 

“・・・・・戸張孤雁?誰それ??”

 

そう思われた方は少なくないでしょう。

それどころか、人の名前ではなく、

四字熟語か何かだと思われた方もいるでしょう。

 

戸張孤雁(とはり こがん)は、中村屋サロンのメンバーの一人で、

明治を代表する彫刻家・荻原守衛の親友としても知られる人物です。

そもそも、戸張が彫刻を作るようになったきっかけも、荻原守衛。

荻原が30歳という若さで急逝した後に、

残された粘土を貰い受け、本格的に彫刻制作を行うようになったのだとか。

なお、戸張も荻原同様、身体が弱く、45歳という若さでこの世を去りました。

 

そんな戸張の彫刻作品が展覧会に大集結しています。

 

 

 

それらの中には代表作の《をなご》も。

 

 

 

作品の背後の壁にふと目をやると、

何やら古い写真のパネルが展示されていました。

実はこちらは、発表当時の《をなご》の姿とのこと。

顔だけの作品かと思っていたのですが、もともとは全身像だったのですね。

なお、現在のところ、首から下は行方不明(?)とのこと。

情報をお持ちの方は、ご一報くださいませ。

 

彫刻を作り始めた頃こそは、荻原っぽい作風でしたが。

その後は、古代オリエントの考古物や、

アフリカの彫像を思わせるような個性的な作品も作るようになります。

 

 

 

個性的なのは、作品そのものだけでなく、台座も。

 

 

 

ブラックサンダーみたいな台座。

見た目のおいしさイナズマ級の台座です。

 

また、戸張の個性は時に、作品名にも発揮されるようで。

こちらの作品には、《煌めく嫉妬》という題が付けられていました。

 

 

 

君の嫉妬には煌めくものがある!

100年に1度の嫉妬!いや、1000年に1度の嫉妬だ!

・・・・・みたいな感じなのでしょうか。

正直なところ、意味はよくわからないですが、

それでも、戸張の個性的なネーミングセンスに嫉妬しました。

 

 

さてさて、彫刻家としての印象が強いですが、

実は、戸張は彫刻以外の作品も多く制作しています。

例えば、油彩画。

 

 

 

また例えば、挿絵。

 

 

 

さらには、浮世絵コレクターでもあったそうで、

浮世絵の技法を用いた、いわゆる新版画も数多く残しています。

 

 

 

しかも、大正11年には、日本初の版画の技法書である、

『創作版画と版画の作り方』を刊行するなど、木版画の普及に努めました。

ここ近年、新版画の人気が高まり、

新版画の展覧会は多く開催されていますが、

戸張の作品は、展示されていなかったような。

(少なくとも僕の記憶には残っていません・・・)

この展覧会を機に、新版画家としての戸張人気が高まるかも。

彫刻好きだけでなく、新版画好きもチェックしておきたい展覧会です。

星

 

 

ちなみに。

若き日の戸張は、シュッとしててイケメン。

ビジュアルの面でも人気が高まるかもしれません。

 

 

 

なお、本名は志村亀吉とのこと。

名前とフェイスにギャップ萌え。

 

 

 

 

1位を目指して、ランキングに挑戦中。
下のボタンをポチッと押して頂けると嬉しいです!

Blogランキングへ にほんブログ村 美術ブログへ


Viewing all articles
Browse latest Browse all 5005

Trending Articles