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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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江口寿史展 ノット・コンプリーテッド

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現在、世田谷文学館で開催されているのは、

“江口寿史展 ノット・コンプリーテッド”という展覧会です。

 

 

1977年に『週刊少年ジャンプ』にて漫画家デビューを果たし、

今はイラストレーターとしての仕事を中心に活動する江口寿史さん。

その最新個展です。

 

ここ近年、川崎市民ミュージアムで開催されたものも含め、

イラストレーションをメインとした展覧会は、数多く開催されてきましたが。

意外にも、漫画の原画をメインとした展覧会は今回が初めてなのだそうです。

 

まず、会場に入って目に飛び込んでくるのは、

江口さんの代表作にして、社会現象にもなった人気漫画。

 

 

 

そう、『ストップ!! ひばりくん!』。

母が亡くなったのをきっかけに、

ヤクザの大空組に世話になる高校生・坂本耕作と、

大空組の跡取り・大空ひばりを中心としたラブコメディです。

 

 

 

パッと見は、絶世の美少女である大空ひばり。

しかし、その正体は女装した男子。

LGBTやトランスジェンダーという言葉が、

まだ浸透していなかった頃に、こんな漫画が連載されていたなんて。

しかも、『週刊少年ジャンプ』で。

今の眼で観ても、いや、今の眼で観るからこそ、より新鮮に映りました。

 

さらに、会場では江口さんのもう一つの代表作、

『すすめ!! パイレーツ』の原画も数多く展示されています。

 

 

 

『すすめ!! パイレーツ』は、千葉県出身の選手のみで構成された、

架空のプロ野球球団「千葉パイレーツ」とその選手達を中心に描いたギャグ漫画。

なお、今でこそ当たり前に使っている『ぶりっ子』という言葉は、

この漫画で用いられた「かわいこぶりっこ」という言葉から派生したものなのだそう。

そのことからも、この漫画の影響力が、

いかに大きいものだったのかが、うかがい知れます。

 

さて、会場では他にも、江口さんの数々のギャグ漫画の原画や、

 

 

 

漫画から派生したイラストレーションの数々の原画、

 

 

 

さらには、装丁やデザインを手掛けたアイテムの数々も展示されていました。

 

 

 

その総数、実に約600点以上!

しかも、ほぼすべてが撮影可能となっています。

リアルタイムを知る世代のファンだけでなく、

そのエモい画風(?)が刺さり、近年は若い層のファンも増えている江口さん。

会期は来年2月4日まで、と長いですが、

他の人を機にせず、写真を撮影するのであれば、

なるべく早いうちに足を運んでおいた方が良さそうです。

 

とはいうものの、展覧会タイトルに、

“ノット・コンプリーテッド”とあるように、

この展覧会は現時点では完成形ではないそうで。

期間中にどんどん完成形に近づいていくとのこと。

そう考えると、なるべく後のほうに訪れたほうがいいのかも。

悩ましいところです。

 

 

 

これまでにこなしてきた仕事量の多さ、

そして、その多彩さを目の当たりにして、

江口寿史さんに対しては尊敬しかないのですが。

星

それに比べて・・・・・・。

会場に解説は一切なし。

仕方が無いので、Wikipediaなど、

自分でネットで調べながら、展覧会を楽しみました。

世田谷文学館の仕事わい!

 

 

ちなみに。

個人的に印象に残っているのが、

漫画家時代の江口さんの仕事場の再現コーナー。

 

 

 

ここに展示されているものは、基本的にすべて私物とのこと。

画版も当時使っていたものだそうです。

 

 

 

で、その当時は、漫画を描きやすくするために、

ジャンプを積んで、ちょうどいい角度をつけていたのだとか。

なお、このジャンプも当時のものとのこと。

江口さんの歴史が詰まった貴重なジャンプが観れるのは、この展覧会だけ。

 

 

 

 

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