芸術の秋。食欲の秋。
この秋、国立科学博物館で開催されているのは、
2013年にユネスコ無形文化遺産に登録された「和食」をテーマにした展覧会です。
実はこちらの展覧会はもともと、
2020年の春に開催される予定だったもの。
が、展覧会の展示準備も終え、いざ開幕という直前で、
例の新型コロナウイルスの影響で、中止を余儀なくされました。
せめて展示風景だけでも楽しんでもらいたい!
と、友人のタラ夫からお誘いがあり、
あの当時、こんな動画を制作しましたっけ。
そんな個人的に思い入れのある展覧会だけに、
3年越しに開催されたという、それだけで感動もひとしおです。
奥深い和食の世界。
それだけに紹介するトピックも多岐に渡っています。
まず、展覧会の前半では主に、
和食に使われる食材がフィーチャーされていました。
和食には欠かせない魚介類。
それらの標本がズラリと並ぶさまは圧巻でした。
と同時に、それらの光景を目にして、
直感的に、美味しそうと思ってしまいました。
日本人の性を痛感せざるを得ませんでした。
また、秋の味覚、キノコの標本も数多く紹介されています。
美味しそうなキノコ、気になるキノコ。
いろんなキノコがありましたが、
やはり一番インパクトがあったのは、こちらのキノコ。
その名も、バカマツタケ。
本家(?)のマツタケと違って、
松林ではなく、雑木林に生えるそうで、
その上、マツタケよりも発生時期が早いことから、
「馬鹿なマツタケ」で、バカマツタケと名付けられたのだとか。
勝手にマツタケと比べるなよ。
僕がバカマツタケなら、そう言うと思います。
僕がバカマツタケなら、出るところに出ようと思います。
他に印象的だった標本が、日本全国のダイコンの標本。
多彩な地ダイコン(レプリカ)
一口に大根といっても、その形状は実にさまざま。
短いものもあれば、蕪のように丸々したもの、
めっちゃ細くてめっちゃ長い守口大根というものもありました。
大根足は悪口ですが、
守口大根足なら、誉め言葉で使えそうです。
そんなさまざまな大根の中で、
一つだけ異彩を放っていたのが、こちらの出雲おろち大根。
大根というより、マンドラゴラ。
もしくは、悪魔か寄生獣にしか見えません。
こんなにも食欲が湧かない大根は初めて目にしました。
さらに、展覧会では食材だけでなく、
味噌や醤油といった調味料も紹介されています。
それらの中には、こんな貴重なものも。
こちらは、池田菊苗博士が1908年に世界で初めて発見し、
実際に昆布から抽出したという「うま味」の素となるグルタミン酸です。
なお、そんなグルタミン酸を漢字で書くと・・・・・
「具留多味酸」となるのだそう。
字面だけ見ても、美味しそうなのが伝わってきました。
さてさて、展覧会の後半では、
縄文時代から近代までの和食が再現模型で紹介されています。
例えば、こちらは卑弥呼が食べていたと思われる食事。
また例えば、こちらは、戦国時代に、
織田信長が徳川家康をもてなした饗応膳です。
時代によってもちろん、食べるものや料理は変わっていますが。
上級国民は常日頃、豪勢な食事を楽しんでいる。
その事実は、時代問わず変わっていないようです。
ちなみに、こちらは奈良時代の貴族の宴会料理↓
奈良時代の貴族の宴会料理の再現模型 奥村彪生監修 奈良文化財研究所蔵
一方、こちらは奈良時代の庶民の食卓です。
留置所みたいな食事。
奈良時代の庶民に生まれなくて良かった。
心の底からそう思いました。
ちなみに。
第1展示室と第2展示室を結ぶ廊下では、
「都道府県別 食べたい・作りたい 人気検索ワードTOP5」が紹介されています。
こちらの検索結果は、クックパッドのビッグデータを元に算出されているそう。
鹿児島県の1位が「パスタサラダ」とか、
沖縄県の1位が「ホットケーキミックス」とか。
非常に興味深いランキング結果が発表されています。
我がふるさとの千葉県の1位はいかに?
その答えは、意外なものでした。
サイゼリヤって。
料理を作る気ないですやん。
47都道県のうち唯一、食材でないものが1位でした。
それが千葉県。
┃会期:2023年10月28日(土)~2024年2月25日(日)
┃会場:国立科学博物館
┃https://washoku2023.exhibit.jp/