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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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Comic:7『ミモザイズム』

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■ミモザイズム(1)

 

 漫画:松尾あき
 出版社:小学館
 発売日:2023/9/12
 ページ数:192ページ

 

 

キュレーター志望の美大生・福沢はある日、

超有名アーティスト花屋敷千雄の娘である花屋敷みもざと出会う。

みもざに実力はないものの、

親の七光りを利用して一儲けを企む福沢だったが、

みもざは福沢の思うようには全く動かず…!? 

カリスマ性だけは持っている天才(?)アーティストと、

新人キュレーターが織りなす現代アートキャンパスコメディー!!
(サンデーうぇぶりHPより)

 

「ここ近年、アートを題材にした漫画が増えてきたように思います。

 たぶん、『ブルー・ピリオド』がヒットしたから?

 

 この漫画も美大を舞台にしてはいますが、

 美大生のリアルさを描く『ブルー・ピリオド』とは、まったくもってテイストが違います。

 主人公の美大生・福沢は、アートで莫大な富を得ようと考えているような人物。

 そして、もう一人の主人公・花屋敷みもざは、

 アートの才能はまったく兼ね備えていないながらも、

 自分を天才と信じてやまないような人物。

 観る眼がある人が観れば、才能がないのは明らかなものの。
 天才と自称するみもざの自信溢れる言動や、

 彼女の父親が、国民の誰もが知る超有名作家であることから、
 アートにそこまで詳しくない人々は、みもざの作品に価値を見出してしまうのです。

 その稀有な才能に目を付けた福沢が、

 みもざの初個展をキュレーションし、お金儲けを企むというお話。

 

 読んでみての僕の率直な感想はというと、

 “このアート漫画はダレトクなのだろう??”ということ。

 

 まず、お金儲けがストーリーのメインというのが、個人的には残念でした。

 もちろん、芸術家はお金を稼ぐな!

 ゴッホたれ!なんてことは、僕は思っていません。

 才能ある漫画家や才能あるスポーツ選手が、
 それなりの金額を得るのは、当然のことでしょう。

 同じように、才能ある芸術家も正当な報酬を得なければ健全でありません。

 ただ、この漫画の場合、主人公は、

 絵の才能がまったく無いという設定なわけで。

 その才能が無いにも関わらず、
 美術の素人たちが、彼女の絵を誉めそやしてしまう。

 それを利用してキュレーターがお金を儲けようとする。

 

 これぞ、よくないアート界のイメージ。

 イルカが描かれた外国人の版画をギャラリーが高値で買わせるような。

 それを肯定するアート漫画って、どうなのさ。

 この漫画が浸透すれば浸透するほど、

 “結局、現代アートって、そういうからくりなんだ…”と思われそうで怖いです。

 

 唯一の救いは、花屋敷みもざのキャラ。

 彼女自身は、お金を儲けたいわけでなく、

 自分のことを天才だと信じ込んでいるため、

 純粋に多くの人に、自分の作品を届けたいと思っているのです。

 

 そういうピュアすぎる天才芸術家と、

 その芸術家のプロデュースを買って出る山師のような人。
 ・・・・・もしかして、あの人やあの人がモデルだったりして。

 

 まだ1巻が発売されたばかりなので、

 もしかしたら、主人公2人のマインドは変わっていくかも。

 いや、変わって欲しいなぁ。

 スター  半分星 ほし ほし ほし (星3つ)」

 

 

~漫画に登場する名画(?)~

 

2016年、10代の学生が、サンフランシスコ美術館の床に、

イタズラで何の変哲もない眼鏡を置いたら、観客が集まってきて、

「興味深いアートだ!」「哲学的な意味があるのかも」と語り始めたというエピソード。

 

 

 

 

 

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