昨年、大きな話題となった展覧会、
“BRIAN ENO AMBIENT KYOTO”に引き続き、
今年も京都でアンビエント・ミュージック(環境音楽)の祭典が開催されています。
その名も、“AMBIENT KYOTO 2023”。
会場は昨年と同じく、京都中央信用金庫 旧厚生センターです。
昨年は、アンビエント・ミュージックの創始者、
ブライアン・イーノの大規模な個展形式で開催されていましたが。
今年は、日本のアンビエント・ミュージックをフィーチャー。
コーネリアスやバッファロー・ドーター、山本精一さんの作品が紹介されています。
とりわけ印象的だったのは、
コーネリアスによるインスタレーション作品。
《QUANTUM GHOSTS》です。
展示空間の中央に設置されているのは、巨大なステージ。
観客はこの上に乗ることが可能となっています。
このステージを取り囲むように、20台のスピーカーが配置されており、
四方からコーネリアスの新曲『QUANTUM GHOSTS』が流れてきます。
音楽を聴くというよりは、浴びる、
いや、浴びせ倒される、といった印象を受けます。
こればかりは体験しないとわからない新感覚の音楽鑑賞体験でした。
なお、照明は、照明の天才と称される高田政義さんが担当。
音楽と照明のシンクロを堪能することができました。
それと、もう一つ印象的だったのが、
《霧中夢 ―Dream in the Mist―》というインスタレーション作品。
「霧中夢」とタイトルにあるように、
こちらの展示空間では、音楽だけでなく霧にも包まれます。
照明はあるものの、目と鼻の先でも見えないほどの霧。
それゆえ、他の観客の方が、
いきなり目の前に現れて、ビクンとなったりもしました。
アンビエント・ミュージックに集中したいのに、
集中しすぎてしまうと、他のお客さんにぶつかりかねない。
アンビバレントな感情を引き起こす作品でした。
さてさて、昨年は京都中央信用金庫 旧厚生センター会場のみでしたが。
今年は、新たに京都新聞ビルの地下にある印刷工場跡地が会場に加わりました。
こちらに展示されているのは、
坂本龍一さんと高谷史郎さんによる作品。
《async - immersion 2023》です。
風景を映した映像から色が抽出され、
それが引き伸ばされることで、線の重なりとなる。
この作風の作品は、これまでに美術館で観たことがありましたが、
普段は非公開という廃墟のような巨大空間で観ると、また新鮮な印象を受けました。
ちなみに。
流れている坂本さんの音楽は、
どこか寂しげで、どこか不穏さもあり、
この場で流れているはずなのに、遠くから聴こえてくるような。
そんな不思議な印象を受けました。
まるで、坂本さんが天国で演奏していたかのよう。
国内では唯一無二の“アンビエント・ミュージックの祭典”ということで、
来年以降も、ぜひ展覧会を続けていって欲しいという気持ちはあります。
が、しかし!
正直に言って、チケット代3300円とは、アンビリーバブル!
作品数に対して、お高く感じました。
しかも、2つの会場が離れているため、電車かバスでの移動が必須。
当然その交通費もかかってくるわけで。。。
この展覧会を観た後は、モネ展の入館料3000円が安く感じられました(笑)