現在、大阪中之島美術館で開催されているのは、
“生誕270年 長沢芦雪 ―奇想の旅、天才絵師の全貌―”という展覧会です。
来年2024年は、「奇想の画家」と言われた、
江戸時代中期の画家・長沢芦雪の生誕270年の節目の年。
それを記念して今年から来年にかけて開催されるもので。
大阪中之島美術館では12月3日まで、
次の会場となる九州国立博物館では、
来年2月6日から3月31日まで開催されるようです。
そういえば、2017年に愛知県美術館で開催された大々的な長沢芦雪展も関東には巡回せず。
そして、今回の長沢芦雪展も関東には巡回せず。
長沢蘆雪展は箱根の関を越えられない呪いでもかけられているのでしょうか?
待っていても埒が明かないので、思い切って大阪に行ってきました。
出展作品は、前後期合わせて116点。
それらの中には、師匠である円山応挙譲りの正統派な作品や、
迫力ある大画面が堪能できる襖絵の数々、
さらには、モフモフのカワイイ仔犬が描かれた作品など、
芦雪の代表作や初公開作品を含む、
初期から晩年の作品までが、バランスよく取り揃えられていました。
おまけに、芦雪とほぼ同時代を生きた、
伊藤若冲や曽我蕭白といった「奇想の画家」も併せて展示されています。
まさに、長沢蘆雪展の決定版!
「奇想の画家」好き、江戸美術好きならば、
大阪に足を運んででも観ておきたい展覧会です。
さて、芦雪の作品で最も有名と思われる重文の《虎図》は、
前期のみの展示で、残念ながら、現在は展示されていません。
ちなみに。
前期は、11月5日まで。
この日に、ご存じの通り、阪神タイガースが38年ぶりに優勝を果たしました。
せっかく大阪全体が、虎で盛り上がっているのですから、
予定を変更して、後期もこの《虎図》をアレしてくれても良かったのに!
ちなみにちなみに、お土産コーナーでは、
《虎図》と阪神タイガースのコラボグッズが多数販売されていました。
なお、後期はメインビジュアルに採用されている《牛図》が出展されています。
見た目は、ほぼバッファロー。
もし、オリックスが優勝していたら、
《牛図》とのコラボグッズが販売されていたかも。
また、後期の目玉というべきは、
兵庫の大乗寺が所蔵する重要文化財の《群猿図》です。
猿の群れが、なんともユーモラスに描かれています。
絵画なのに、動いて見えるほどの躍動感。
まるで、アニメーションのようでした。
それも、アメリカのアニメーション。
ルーニー・テューンズみたいな。
他に後期で観ておきたいのは、個人蔵の《富士越鶴図》。
富士山が縦細長かったり。
鶴が縦一列に並んで飛んでいたり。
奇想にもほどがある作品です。
そんな芦雪の奇想っぷり(?)が、
最大限に発揮されていたのが、《月竹図》という作品。
細長っ!!
日本の美術史上、いや、
世界の美術史上でも、もっとも細長い絵画かもしれません。