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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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私たちのエコロジー:地球という惑星を生きるために

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今年2023年は、六本木の森美術館が開館して20年目の節目の年。

それを記念して現在開催されているのは、

“私たちのエコロジー:地球という惑星を生きるために”という展覧会。

 

 

 

テーマはずばり、「エコロジー」。

ドイツ・ケルン出身のコンセプチュアルアーティスト、ハンス・ハーケや、

 

ハンス・ハーケ《海浜汚染の記念碑》《無題》1968-1972/2019年の部分) 1970年 デジタルCプリント 33.7×50.8 cm

Courtesy: Paula Cooper Gallery, New York © Hans Haacke / Artists Rights Society (ARS), New York

 

 

陶芸と現代美術の領域を繋ぐ注目の若手作家・西條茜さんを含む、

 

西條 茜《果樹園》 2022年 陶 130×82×82 cm

展示風景:「Phantom Body」アートコートギャラリー(大阪)2022年 撮影:来田 猛

 

 

世界16カ国34人のアーティストの作品が紹介されています。

インパクトのある作品が多々ありましたが、

中でも印象に残っているのは、スウェーデンの作家ニナ・カネルによる作品。

 

ニナ・カネル《マッスル・メモリー(5トン)》(2023年)

 

 

床に敷き詰められているのは、5トン分のホタテの貝殻です。

 

 

 

この作品では、ホタテの貝殻の上を歩くことができます。

 

 

 

歩けば、当然ですが、貝殻が割れます。

実は、ホタテの貝殻は建材などに再利用できるものの、

北海道で、毎年20万トンのホタテの貝殻が廃棄されているのだとか。

その理由は、建材としてリサイクルする場合、膨大な化石燃料を必要とするから。

この作品は、化石燃料を使うことなく、

人力でホタテの貝殻を粉々にして、建材を作り出そうというもの。

エコロジーのため、普段よりも多めに踏んでおきました。

 

 

続いて印象的だったのが、いけ花を学び、

いけ花の可能性を拡げてきた作家、谷口雅邦さんによる作品です。

 

 

 

推し固めた巨大な土の塊から生えているのは、トウモロコシの茎とのこと。

 

谷口雅邦《発芽する?プリーズ!》(2023年)

 

 

観れば観るほど、奇怪な代物。

動いていないにも関わらず、

圧倒的な存在感、不思議な生命感を放っていました。

『ハリー・ポッター』にこんな魔法生物が出てきたような。

ちなみに、見た目もインパクトがありますが、タイトルもインパクトがあります。

その名も、《発芽する?プリーズ!》とのことです。

 

タイトルが印象的だったと言えば、

クウェート生まれのモニラ・アルカディリによるインスタレーション作品も。

 

モニラ・アルカディリ《恨み言》(2023年)

 

 

青一色の空間に浮かんでいるのは、巨大な真珠です。

作品タイトルは、《恨み言》

実に意味深です。

なんでも、クウェートは古代から天然真珠が主力産業だったのだそう。

しかし、20世紀に入ると、日本の養殖真珠に取って代わられてしまいます。

そのせいで、クウェートは衰退。

のちに石油産業が台頭したおかげで、再び経済が発展していきました。

巨大な真珠の下に立つと、指向性スピーカーより、

そういった真珠に関する恨み辛みが聞こえてくるという作品。

まぁ、恨みを聞かされるので、いい気はしないです(笑)。

 

展覧会のラストで展示されていたのは、

NY出身のアーティスト、アサド・ラザによる《木漏れ日》

 

アサド・ラザ《木漏れ日》(2023年)

 

 

作品の主役は、天窓から差し込む太陽光です。

 

 

 

↑実はこの天窓のロールスクリーンが、故障していたそうで。

今回のために、足場を組んで修理したのだそうです。

会場に残っている足場は、そのときのもの。

なお、会期中は照明が消されているとのこと。

日中は晴れていれば、木漏れ日を楽しめますが。

夜はどうなるのでしょう・・・と思ったら、日没後は音響作品が流れるのだとか。

なお、その作品名は・・・・・

 

 

 

《ヴィヴァン》だそう。

たぶん、ノゴーン・ベキは関係ないはずです。

星

 

 

ちなみに。

 

 

 

会場の壁が、なんだかスゴいことになっていました。

「これもアート?」かと思いきや、

エコロジーをテーマにした展覧会ゆえ、

前の展覧会で使われた展示壁を再利用しているのだとか。

しかも、パネルの塗装もあえてしていないのだそうです。

その取り組みは大いに結構なのですが・・・・・・

 

 

 

せめて、手形や足跡は拭いてください。

ホラーかと思いました。

 

 

 ┃会期:2023年10月18日(水)~2024年3月31日(日)

 ┃会場:森美術館
 ┃https://www.mori.art.museum/jp/

 

~読者の皆様へのプレゼント~ 
“私たちのエコロジー展”の無料鑑賞券を5組10名様にプレゼントいたします。 
住所・氏名・電話番号を添えて、以下のメールフォームより応募くださいませ。 
https://ws.formzu.net/fgen/S98375463/
なお、〆切は12月5日です。当選は発送をもって代えさせていただきます。

 

 

 

 

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