11月24日に開業した“街全体がミュージアム”の麻布台ヒルズ。
そんな麻布台ヒルズの文化発信の拠点として、
同日にオープンしたのが、麻布台ヒルズギャラリーです。
その開館記念として開催されているのが、
“オラファー・エリアソン展:相互に繋がりあう瞬間が協和する周期”。
アイスランド系デンマーク人アーティスト、オラファー・エリアソンの最新展覧会です。
会場に入ると、まず待ち受けていたのが、
《蛍の生物圏(マグマの流星)》という彫刻作品。
ドラゴンボールやカンロ飴を彷彿とさせる色の球体の中に、
それぞれ異なる形のガラスの多面体が3つ収まっています。
それらがモーターにより、ゆっくりと回転。
内側に組み込まれたLEDライトが複雑に反射しています。
また、その光は外の壁にも広がり、
万華鏡のような不思議な光の世界を作り上げていました。
エリアソンお得意の(?)ずっと観ていられる作品。
ぼーっと、じーっと観続けてしまいました。
気を入れ直して、次の作品へ。
こちらは、《終わりなき研究》という2005年の作品です。
中央に置かれているのは、ハーモノグラフという機械。
こちらには、3つの振り子が取り付けられています。
さらに、その振り子にはそれぞれ、ペンや木の台が取り付けられていました。
この台の上に紙を置くと、振り子の運動のリズムが、
それらと連動することで、ドローイングが描かれます。
そうして描かれたドローイングは、
まるでCGで描かれたような仕上がりに。
目の前で制作風景を観ているにも関わらず、
アナログな手法で描かれたとはまったく思えませんでした。
CGのようといえば、《ダブル・スパイラル》という作品も。
タイトル通り、スチール製のステンレスが、
二重螺旋の形に巻かれ、天井から吊るされています。
この金属製のオブジェがモーターでゆっくりと回っている。
ただそれだけの作品なのですが、しばらく観てみるとあら不思議!
同じ方向に回っているはずなのに、
外側と内側の螺旋が、違う方向に進んでいるように見えるのです。
片方は上昇し、片方は下降しているように。
冒頭の《蛍の生物圏(マグマの流星)》という同様に、
《ダブル・スパイラル》も見入ってしまう系の作品でした。
ちなみに。
それ以上に見入ってしまった作品が、
最後の展示室で展開されていた《瞬間の家》。
2010年のヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展で発表した作品を再構成したものだそう。
天井に設置されたのは、3つのホース。
それらが回転しながら、ピシャピシャと水を巻き散らし続けています。
なお、この空間は暗闇に包まれており、
絶えずストロボの強い光が焚かれています。
それにより、水の軌跡が、光の粒の連なりのように見えるのです。
先日、国立新美術館で観た大巻伸嗣さんの個展でも、
真っ暗で巨大な空間を使ったインスタレーション作品がありましたが。
あちらが「静」なら、こちらは「動」。
示し合わせて展覧会を開催したわけではないでしょうが、
2人のインスタレーション作品が対照的で、興味深くありました。
ちなみに。
森ビルにある森アーツセンターギャラリーのようなスペースを想像していたのですが、
麻布台ヒルズギャラリーの展示空間は、その半分くらいのサイズしかありませんでした。
ただ、その代わりといってはなんですが(?)、
ショップとギャラリーカフェスペースも併設されていました。
特にショップは、展示スペースに対して、
思いのほか、広々としていた印象を受けました。
展示スペースとは少し離れた位置にあるので、見逃さないようご注意を。