国立新美術館で開催中の展覧会、
“大巻伸嗣 Interface of Being 真空のゆらぎ”に行ってきました。
ダイナミックでありながらも、繊細で心を揺さぶる。
そんなインスタレーション作品に定評のある現代美術家・大巻伸嗣さんの最新個展です。
会場に入ると、まず目の前に現れたのは、強烈な光を放つ巨大な何やら。
例えとして、失礼なことを重々承知していますが、
まるで夜に虫が光に吸い寄せられるように、観客たちが光のもとへと集まっていきます。
もちろん、僕もその一人。
近づいてみると、そこには巨大な壺型の構造物がありました。
そして、その表面は、さまざまな紋様で覆われていました。
なお、この壺型の構造物そのものが光っていたわけではなく。
内部にある鏡面で覆われたコイツから強烈な光が放たれているようです。
じーっと観ていたところ、
“コイツ・・・上下に動くぞ!”ということに気づきました。
そのため・・・・・
壁や床に落ちる影が、絶えず変化し続けます。
ゆっくりと表情を変え続ける影は、まるで抽象的な映像作品のよう。
ついついボーっと見続けてしまいました。
ちなみに。
巨大な壺のような構造物と、
その周りに映し出される影ばかりに、目が奪われますが。
ふと床に目を向けると、随所に意味深な言葉が書かれていました。
日本語だけでなく、英語ver.もあるので、
会場を訪れる方は、是非お見逃し無きように。
さて、ここまで紹介したインスタレーション作品《Gravity and Grace》は、
2016年より発表されている「Gravity and Grace」シリーズの最新作に当たります。
本展ではさらに、大巻さんのライフワークというべき、
「Liminal Air Time」シリーズの最新作も発表されています。
それが、こちらの《Liminal Air Time ̶ Space 真空のゆらぎ》。
真っ暗な空間に(文字通り)浮かび上るのは、ポリエステル製の薄く巨大な布。
それがファンから風を受けることで、
ふわりふわりと空中をたゆたっています。
ただそれだけ、といえばそれだけの、
シンプルな仕掛けの作品ではあるのですが。
まるで、寄せては返す波のようで、
《Gravity and Grace》以上に、ボーっと見続けてしまいました。
この2つのダイナミックかつ繊細なインスタレーション作品の他にも。
印画紙の上にものを直接置いて焼きつけるフォトグラムの技法で制作した新作や、
これまでほとんど公開してこなかったという貴重なドローイング群も展示されています。
さらに、あえて暗闇の中で黒い絵の具で絵を描く、
「Drawing in the Dark」と名付けられた最新シリーズも紹介されていました。
これだけ見ごたえあって、
入館料は、なんと無料です!
大事なことなので2回言っておきましょう。
入館料は、なんと無料です!
行こうか行くまいか心が揺らいでいた方は、
絶対行っておいたほうがいいですよ、マジで。