現在、東京ステーションギャラリーでは、
開館以来初となる仏像展が開催されています。
その名も、“みちのく いとしい仏たち”。
仏像展は、ここ近年の展覧会界隈でのドル箱コンテンツ。
京都や奈良の古刹にまつられる仏像が、
毎年のように、どこかの美術館や博物館で展示され、
時に行列が出来るほど、人々で賑わっています。
東京ステーションギャラリーといえば、
そういう人気の高いコンテンツに手を出さず、
企画力勝負の展覧会を連発する美術館です。
そんな美術館でも、普通に人気のありそうな展覧会を、
たまにはやってみたくなるものなにですねぇ・・・・・と思ったら。
やっぱりいつもの東京ステーションギャラリーでした!
普通の仏像展を開催するわけがなかったです(笑)。
本展で紹介されているのは、北東北(青森・岩手・秋田)の民間仏。
村の小さなお堂や祠などで、祈りの対象とされた仏像や神像です。
いわゆるプロの仏師が作ったものではなく、
大工や木地師らが仕事の合間に彫ったもの。
それゆえ、一般的な仏像を見慣れている身からすると・・・
《山神像》 江戸時代 兄川山神社/岩手県八幡平市
《不動明王二童子立像》 江戸時代 洞圓寺/青森県田子町
正直なところ、ファーストインプレッションは、かなり戸惑いました。
緊張感のようなものは一切なし。
全体的に、ユルいにもほどがあります。
ただ、そういうものなのだと受け入れると、途端に愛らしくなってきました。
仏というよりも、近所のおっちゃんやおばちゃんのよう。
初めて会うのに初めて会った気がしない。
そんな妙な親しみやすさがありました。
それは本来なら怖い存在である十王(閻魔)像でも存分に発揮。
パッと見、松鶴家千とせかと思いました(笑)。
《十王像》 江戸時代 黒石寺/岩手県奥州市
さらに、こちらは鬼をモチーフにした像です。
《鬼形像》 江戸時代 正福寺/岩手県葛巻町
鬼と言われなければ、鬼とは思えないユルさがあります。
よく見ると、鬼の左手の下に女性がいます。
そして、鬼は左手でその女性の髪の毛を掴んでいます。
どうやら女性を引きずっているのだそう。
・・・・・・いや、こいつに関しては怖いわ。
ゆるいキャラが猟奇的なのは、逆に怖いわ。
『イカゲーム』を彷彿とさせるものがありました。
さて、ついついそのユルさばかりが、気になってしまいますが、
不思議なことに、どの仏像もそこまでヘタクソには感じませんでした。
晩年のマティスっぽいというか、抽象彫刻っぽいというか。
シンプルを追求して、ある意味、洗練されている気さえしました。
長い美術史の流れの中で、20世紀にマティスや抽象彫刻が登場したように。
仏像の歴史も辿り着く先は、こういった形状になるのかも。
シルクロードを経由して、日本に伝わった仏像が、
京都や奈良で発展した後、徐々に地方へと伝播していったわけで。
その到達地である北東北に、こういった仏像が多いのは必然なのかもしれません。
・・・・・なんて深いことを考えずとも(←自分で言っちゃってる時点で浅いw)。
シンプルにその造形を愛でるも良し。
「ブイブイいわせる」や「やさしくしかって」など、
解説文やキャプションのゆるさと併せて楽しむのも良し。
観るだけで心がポカポカする冬にピッタリの展覧会です。
┃会期:2023年12月2日(土)〜2024年2月12日(月・振)
┃会場:東京ステーションギャラリー
┃https://www.ejrcf.or.jp/gallery/exhibition/202312_michinoku.html
~読者の皆様へのプレゼント~
“みちのく いとしい仏たち”の無料鑑賞券を5組10名様にプレゼントいたします。
展覧会名・住所・氏名・電話番号を添えて、
https://ws.formzu.net/fgen/
なお、〆切は12月22日です。