2024年3月1日。
青山通りにPOLA青山ビルディングが竣工しました。
全体的には、どこにでもあるような、
「THE ビル」ともいうべき、オーソドックスなタイプのビルですが、
一か所だけ、何だか妙に気になるものが取り付けられています。
下から見ると、昔の缶ジュースにあったプルタブのようです。
こちらの角度からだと、よりプルタブのように見えます。
なぜ、令和の時代に、昭和の遺物であるプルタブが??
もしや、『不適切にもほどがある』的に、タイムスリップしてきたのか?!
・・・・・と思われた方も、いらっしゃるかもしれませんが。
こちらはプルタブではなく美術作品、
しかも、“時空を超えて豊かに広がる樹葉をイメージ”した美術作品です。
奇跡的に、タイムスリップというのはあっていました。
続・無料で観れる美術百選048
SHIMURAbros《Sigillaria/ シギラリア》
作者は、SHIMURAbros。
1976年生まれのユカさんと、
1976年生まれのケンタロウさんの、実の姉弟からなるユニットです。
当初は映画作家として活動をしていましたが、のちに、アーティストへと転身。
第13回文化庁メディア芸術祭アート部門で優秀賞、
TERRADA ART AWARD 2015で最優秀賞を受賞するなど、
国内外で高い評価を受けているアート界最強姉弟です。
2014年からは、拠点をベルリンへと移し、
現在は、あのオラファー・エリアソンのスタジオで研究員を務めています。
その影響も大いにあるのでしょう。
以前は映像インスタレーションを発表していましたが、
近年は、光学ガラスを用いた作品を多く制作しているようです。
今回、POLA青山ビルディングに設置された新作も、
やはり一部に、強い色彩を帯びる光学ガラスが使用されていました。
観る角度によって、色が変化するため、
ついついいろんな場所から作品を観たくなることでしょう。
ただし、作品自体が高さ8m、幅4mと大きく、
くわえて、だいぶ高い位置に取り付けられているため、
色の変化を楽しむためには、大きな移動を余儀なくされます。
50mくらい離れたり、100mくらい離れたり、
信号をわたって、反対側から眺めてみたり。
おかげさまで良い運動になりました。
なお、体力に自信が無いという方も、ご安心を。
敷地内には、SHIMURAbrosによる別の作品、
それも、光学ガラスを用いた作品が設置されています。
こちらも見る角度によって、色彩が変化。
ガラスとは思えない美しく淡い色彩は必見なのですが、
青山通りを道行く人の多くは、作品に気づいていないようでした。
「SHIMURAbros~!後ろ~!後ろ~!」
そう、声を掛けてあげたくなりました。
<無料で観れる美術 データ>
POLA青山ビルディング
住所:東京都港区南青山2-4-1
アクセス:○東京メトロ・都営地下鉄「青山一丁目駅」駅より徒歩2分