現在、パナソニック汐留美術館で開催されているのは、
“テルマエ展 お風呂でつながる古代ローマと日本”という展覧会。
ヤマザキマリさんによる人気漫画『テルマエ・ロマエ』でもお馴染み、
テルマエ(=古代ローマの公共浴場)にスポットを当てた展覧会です。
(注:展示室内は一部撮影可。写真撮影は、特別に許可を得ております。)
古代ローマをテーマにした展覧会は、
これまで幾度となく日本で開催されてきましたが、
何か一つのテーマに絞って開催されるのは、実は本展が初とのこと。
その栄えある記念すべき1発目のテーマがテルマエというのは、
お風呂大好きな平たい顔族の日本人としては感慨深いものがあります。
出展作品は100件以上!
それらの中には、最大級のテルマエの一つ、
「カラカラ浴場」を造営したカラカラ帝の胸像や、
《カラカラ帝胸像》 212~217年 大理石 ナポリ国立考古学博物館蔵
Photo © Luciano and Marco Pedicini
当時のテルマエで実際に使われていたであろう入浴道具の数々、
《入浴道具》 1世紀 青銅 ナポリ国立考古学博物館蔵
Photo © Luciano and Marco Pedicini
テルマエとは切っても切れない水道に関するアイテムなども含まれています。
《ライオン頭部形の吐水口》 1世紀 青銅、テラコッタ ナポリ国立考古学博物館蔵
Photo © Luciano and Marco Pedicini
なお、今紹介したものはすべて、
ナポリ国立考古学博物館が所蔵するもの。
もちろん、本展のために来日を果たしています。
『テルマエ・ロマエ』のルシウスが、ナビゲーターを務めているため、
漫画『テルマエ・ロマエ』の原画を中心に紹介する展覧会なのかと思いきや、
『テルマエ・ロマエ』の要素は入れつつも、内容は本格的な古代ローマ展でした。
ナポリ国立考古学博物館からの来日作品の中には、
さらっと、2022年のポンペイ展にも出展されていたフレスコ画も。
さらには、大理石像の《恥じらいのヴィーナス》も来日しています。
“恥じらいのヴィーナス”といえば、
その代表例の一つとされる「カピトリーノのヴィーナス」が、
昨年開催された“永遠の都ローマ展”で初来日して大きな話題となりました。
今回来日しているのは、それよりも古い1世紀作のもの。
もしかしたら、どこかのテルマエに設置されていた可能性もあるものです。
まさかこんな貴重な彫刻作品が来日していたとは!
嬉しいサプライズでした。
なお、展覧会のラストでは、日本の入浴文化についても紹介。
浮世絵やさまざまな資料を交えつつ、
日本の入浴文化の歴史を辿れる展示となっています。
中でも個人的に興味深かったのは、
明治時代に発売された花王の石鹸です。
かけそば1杯が1銭だったこの当時、
花王の石鹸は1個で12銭する高級品だったとか。
なお、その隣に展示されていたのは、
昭和7年に花王から発売された固形のシャンプー。
ちなみに、この商品がきっかけとなって、
日本にシャンプーという言葉が定着したそうです。
また、日本のテルマエに欠かせないあのアイテムも紹介されていました。
それはケロリンの桶。
「ケロリンの桶=黄色」というイメージですが、
実は、販売当初は、白い色の桶だったそうです。
白だと汚れや傷が目立つため、現在の黄色になったのだとか。
さらに、ケロリンの桶に関してもう一つ驚きの事実が!
実は、関東と関西でサイズが違うのだそうです。
関東は直径22.5cmで、関西は直径21㎝。
関西の方がやや小ぶりなのだとか。
・・・・・と、ローマのテルマエがメインの展覧会ではありますが、
個人的には、馴染み深い日本のお風呂事情のほうに食いついてしまいました(笑)。
そうそう、日本のお風呂といえば、こんなものも展示されていましたっけ。
銭湯でよく見かけたホーロー看板です。
よく見れば、注意書きの下に、
それぞれナショナルの広告が掲載されています。
なるほど。パナソニック汐留美術館で開催されているだけに。
┃会期:2024年4月6日(土)~6月9日(日)
┃会場:パナソニック汐留美術館
┃https://panasonic.co.jp/ew/museum/exhibition/24/240406/
~読者の皆様へのプレゼント~
“テルマエ展”の無料鑑賞券を5組10名様にプレゼントいたします。
展覧会名・住所・氏名・電話番号を添えて、
https://ws.formzu.net/fgen/
なお、〆切は5月5日です。