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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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金屏風の祭典 ―黄金の世界へようこそ―

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現在、箱根の岡田美術館では開催されているのは、

“金屏風の祭典 ―黄金の世界へようこそ―”という展覧会。

 

(注:展示室内の写真撮影は、特別に許可を得ております)

 

 

こちらは、同館で2019年に開催された展覧会、

“これぞ黄金の国・日本 金屏風展”の新装開店版ともいうべきもので、

前回同様に3階の展示室1フロアまるまるが、金屏風で埋め尽くされています。

星星

 

なお、意外かもしれませんが、

実は金屏風は、日本独自で発達した美術文化。

室町時代以降、日本を代表する美術工芸品として、

諸外国の王や要人に、金屏風が贈られていたそうです。

そう考えると、当時の人々や海外のVIPが、

金屏風だけで埋め尽くされた本展の展示室を観たなら、

その豪華絢爛ぶりに、思わず卒倒してしまうかもしれません。

 

さて、本展では3つのテーマに分けて、金屏風を紹介しています。

まずは、「金雲の間」。

桃山時代に制作された狩野派の《春夏花鳥図屏風》や、

 

狩野派《春夏花鳥図屏風》 桃山時代 16世紀 岡田美術館蔵

 

 

同じく狩野派による17世紀初頭の《春秋花鳥図屏風》をはじめ、

 

狩野派《春秋花鳥図屏風》 桃山~江戸時代初頭 17世紀初頭 岡田美術館蔵

 

 

金雲が描かれた金屏風の数々が展示されています。

日本美術展で見慣れ過ぎていたため、

これまで特には不思議に思わなかったですが、

改めて冷静に考えてみると、金色の雲って何!?

シュルレアリスムの作家たちよりも、

シュルレアリスムな表現である気がします。

しかも、一口に金雲といっても、そのパターンもさまざま。

狩野派の金雲がどこか力強い印象なのに対し、

 

 

 

作者不詳のこちらの絵の金雲は雅な印象があります。

 

 

 

中には、金雲の中に、さらに多数の金雲があるというパターンも。

 

 

 

金屏風が無かったら、金雲という表現は生まれなかったでしょうし、

金雲が無ければ、『ドラゴンボール』に筋斗雲は登場していなかったことでしょう。

金色に輝く雲を眺めながら、日本の美術文化、

はては日本のアニメ文化にまで、想いを馳せてしまいました。

 

 

続いての部屋は、「金銀の間」。

こちらでは、金だけでなく、

銀も効果的に使われた屏風が紹介されています。

 

《柳橋水車図屏風》 江戸時代前期 17世紀 岡田美術館蔵

 

伊年印《扇面散図屏風》 江戸時代初期 17世紀 岡田美術館蔵

 

 

金は見えるものの、銀はどこに・・・?

と思った方もいらっしゃるかもしれませんが、

今ではすっかり黒く変色してしまっている部分が銀です。

イマジネーション力を最大限に駆使し、

頭の中で、黒い部分を銀色に変換してみました。

う~ん。ちょっと派手すぎるような。

むしろ黒く変色していた方が、趣があって良い気がします。

もしかしたら、当時の人もそう思っていて、

あえて、早く黒く変色するようにダメージを与えていたかも。

ダメージジーンズを育てるように。

 

 

最後に待ち受けているのは、「金地の間」。

桃山時代から大正時代までの総金地の屏風が一堂に会しています。

 

尾形光琳《菊図屏風》 江戸時代前期 18世紀初頭 岡田美術館蔵

 

木村武山《葦に鳥図屏風》 大正時代 20世紀前半 岡田美術館蔵

 

 

数ある金地の屏風絵の中で、

個人的にもっとも印象に残っているのが、こちら。

進藤尚郁による《四季花鳥図屏風》です。

 

進藤尚郁《四季花鳥図屏風》 江戸時代 元文2年(1737) 岡田美術館蔵

 

 

進藤尚郁は、狩野常信の門人でありながら、

のちに江戸を離れ、京都で活躍した絵師とのこと。

それくらいしかよくわかっていない謎多き絵師なのだそうです。

 

 

 

江戸の粋と京都の雅。

その両方のいいとこどりとも言うべき

ハイブリッドのような画風は、妙に惹きつけられるものがありました。

進藤尚郁。

絵師というよりも、格闘家みたいな名前ですが、覚えておこうと思います。

 

それからもう一つ印象的だったのが、こちらの《紅白梅図屏風》です。

 

《紅白梅図屏風》 江戸時代初期 17世紀前半 岡田美術館蔵

 

 

《紅白梅図屏風》と聞くと、MOA美術館が所蔵する、

国宝の尾形光琳の二曲一双の屏風が思い浮かぶでしょう。

あちらは、画面向かって左に白梅、右に紅梅が描かれていますが。

岡田美術館所蔵の《紅白梅図屏風》は、六曲一双。

しかも、左右に描かれている梅はどちらも、紅と白の花が咲いています。

ということは、スペースが狭い場所に飾ろうとした場合、

片方しか出さなくても、《紅白梅図屏風》を名乗れるわけですね(←?)。

 

 

 

 

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