現在、東京都現代美術館で開催されているのは、
“ホー・ツーニェン エージェントのA”という展覧会です。
シンガポールを拠点に活動する現代アーティストで、
今もっとも国際的に注目されている作家の一人、ホー・ツーニェン。
その東京では初となる大規模個展です。
ホーのデビュー作《ウタマ—歴史に現れたる名はすべて我なり》から、
本展のために制作された60分の超大作《時間(タイム)のT》まで。
展覧会では、計6点の映像インスタレーション作品が紹介されています。
そのタイムテーブルは、以下の通り。
すべて観るには、2時間半近くかかります。
展覧会に行こうと計画している方は、
時間に余裕を持って行かれることを激しくオススメいたします!
というのも、自分は前後のスケジュールの関係で、
2021年に山口のYCAMで開催された彼の個展で発表された、
《ヴォイス・オブ・ヴォイド—虚無の声》しか観ることができませんでした。。。
こちらは、京都帝国大学の西田幾多郎や田辺元を中心にして、
昭和の日本思想界で大きな影響力を誇った「京都学派」をテーマにした映像作品です。
彼らの哲学によって、日本はアジア各国で植民地を拡大することに。
さらには、太平洋戦争へと突入することとなりました。
そんな京都学派の哲学者たちの対話やテキストが映像で紹介されています。
正直に言って、哲学用語が多く登場するので、内容はなかなか難解です。
さらに、VR(仮想空間)の要素も加わっているので、より難解な仕上がりに。
ちゃんと全部観た上での率直な感想は、
“なんか頭がよくなった気がする!”でした(←絶対よくなってないw)。
・・・・・とそれはさておきまして。
残念ながら、新作の《時間(タイム)のT》は見られませんでしたが、
それと関連する《時間(タイム)のT:タイムピース》は鑑賞することができました。
こちらは、全42点からなる映像作品群で、
時間をテーマにした映像が展示室内のあちらこちらに展示されています。
ひとことに時間と言っても、そのバリエーションはさまざま。
時計やカレンダーなど、わかりやすく時間を連想させるものもあれば、
悠久の時を感じさせるもの、死を想起させるものもありました。
これらは作品のイメージによって、
ループする上映時間が異なっています。
1秒でループするものから1年でループするもの、
さらには、「無限」に設定されているものもありました。
そう言う意味でも、時間がいくらあっても足りない展覧会です。
ちなみに。
《時間(タイム)のT:タイムピース》の映像の中には、
「赤方偏移」や「静止質量ゼロの粒子」、「トポロジー」など、
宇宙天文や物理学、数学のムズい概念が用いられていたものもありました
哲学だけでなく、理系脳も要する展覧会。
頭脳にバキバキに負荷がかかりました。