本日は、 “こちトラも自腹じゃ!” 2連発!
Book:11の 『死にとうない 仙厓和尚伝』 に引き続いて紹介するのは、
第148回直木賞を受賞したばかりの今話題のあの歴史小説です。
等伯 〈上〉/日本経済新聞出版社
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等伯 〈下〉/日本経済新聞出版社
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■等伯 〈上〉〈下〉
作者:安倍龍太郎
出版社:日本経済新聞出版社
発売日: 2012/9/15
ページ数:〈上〉350ページ/〈下〉369ページ
誰も見たことのない絵を―狩野派との暗闘、
心の師・千利休の自刃、秀吉の世に台頭する長谷川派を次々と襲う悲劇。
亡き者たちを背負い、おのれの画境に向かう。
とこしえの真善美、等伯がたどりついた境地。
(「BOOK」データベースより)
「こういうことを言うと、後出しじゃんけんのように思われてしまうでしょうが。
実は、直木賞受賞前より、この小説は手に入れていました。
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この企画で紹介しようというのと、
単純に長谷川等伯の 《松林図屏風》 が好きなこともあって、ジャケ買いしたようなものです (笑)
それが、まさか直木賞を受賞しようとは。
なんと、僕に先見の明があったのでしょうか (←どうでもいい自慢)
それはさておきまして。
直木賞うんぬんに関係なく、この小説は、面白かった!!
これまで、この “こちトラも自腹じゃ!” 企画のために、
「あんまり面白くないだろうなァ・・・」 と思いつつも、 (←オイッ!)
芸術家を主人公にした小説を読んできたわけですが。
この小説と出合えたことで、それらの苦労 (?) がチャラになった感じです (笑)
この小説の面白さのポイントは、たくさんありますが。
最大のポイントは、 “等伯のだめんずっぷり” にあったような気がします。
もちろん、絵の才能は、類稀なるものがあるのですが。
長い物語 (人生) のあちらこちらで、
「あちゃー、等伯、バカだなー>_<」
という箇所が、登場します。
その失敗のたびに、きちんと反省するのですが、
また時が経つと同じような失敗をしてしまう。
画家としては急成長するのに、人間としての成長は遅々としか進まず (笑)
でも、そのだめんずっぷりに、世の男性は、共感するのではなかろうか。
また、等伯はだめんずなのに、妻も息子も、よくできた人物というのが、またポイント。
“そんなに、理想的な妻も、理想的な息子もいないでしょ?!”
というくらいに、理想的な家族。
世の男性は、現実逃避をすべく (?) 、この小説を読むのではなかろうか。
信長や秀吉、千利休といった歴史上の有名な偉人も、
本能寺の変や千利休の切腹事件などの歴史上の大事件も描かれるので、純粋に歴史小説として楽しめますが。
美術に興味があるなら、なおのこと面白いのが、この小説。
当時の美術界事情が、よくわかります。
下手な専門書を読むより、よっぽど頭に入りやすいです。
また、等伯の絵に対する描写が、素晴らしく、
本当に、作家さんに等伯が乗り移って書いたのではと思わされるくらいに、リアリティある描写なのです。
下手なキャプションよりも、よっぽどためになります。
等伯の絵を観る前に読めば、作品に向き合ったときの感動は100倍にもなるはずでしょう。
今、何よりも悔しいのは、
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本物の 《松林図屏風》 を観る前に、なぜ読んでおかなかったのか?!
ということです。
自分のバカバカバカ。
他に特筆すべきこととして、ライバルである狩野永徳のキャラ設定が秀逸だったなという印象。
永徳を筆頭に狩野派の連中は、ほぼ全員ステレオタイプなくらいに、イヤなヤツなのですが。
(↑この春開催予定の京都国立博物館の “狩野山楽・山雪” に影響が無いといいのですが・・・笑)
最後の最後に、永徳が人間らしさを爆発させる瞬間があって、そのシーンが個人的には好きです。
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ともあれ、今後、狩野永徳の作品を観る目が変わるのは確実です。
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~小説に登場する名画~
《日堯上人像》
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Book:12 『等伯 〈上〉〈下〉』
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