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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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北京故宮博物院200選

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入場待ち最高60分 (2012/1/9現在)

今、もっとも混んでいる美術展。
東京国立博物館で開催中の “北京故宮博物院200選” に行ってまいりました。

北京故宮博物院が誇るコレクションのうち、
選りすぐりの名宝200件が出品されている美術展です。
そのうちの41件 (一部展示替あり) は、これまで門外不出とされていた宋・元時代の書画。
日中国交正常化40周年だからこそ実現した超貴重な美術展と言えましょう。


さてさて、そんな北京故宮博物院200選。
入るまでにも、行列が。
そして、なぜか、展覧会場にも、さらなる行列が。

一体、何の行列かと思えば、200点の出展作品のうちの1点、張択端の 《清明上河図》 を観るためだけの行列。
その待ち時間、なんと最高180分 (2012/1/9現在)


つまり。
下手をしたら、《清明上河図》 を観るには、
入場と合わせて、4時間も並ばなくてはいけないかもしれないのです。
長い。長すぎる。


そこまで、行列のできる美術品 《清明上河図》 とは?

《清明上河図》 は、大げさでなく、中国を代表する至宝。
いや、世界でも屈指の幻の名画です。
中国の書画で最高ランクを意味する “神品(しんぴん)” として賞されています。
そんな中国絵画史上の最高傑作だけに、
中国国内でも滅多に展示されることはなく、国外に出品されるのは初めてのことなのだとか。
それは、行列が出来るのも納得です。

行列に並ぶのは、正直、あまり好きではありませんが。
ここは、アートテラーとして、素通りするわけにはいきません。
意を決して、 《清明上河図》 の行列に並んでみることに。


・・・並ぶこと10分経過。


・・・さらに、並ぶこと20分経過。


・・・さらにさらに、並ぶこと30分経過。


並んでいる際に、頭をよぎったのは、

“これだけ待って、たいしたことない絵だったら、どうしよう。
 この前、並んでみた行列の出来るラーメン屋さんのラーメンは、そんなに美味しくなかったぞ”

という不安。
そんな不安と闘いつつ、また展覧会場内のパネルや映像での詳細な解説を見つつ、90分が経過。
待った甲斐があって、 《清明上河図》 は目の前にありました。
さて、その率直な感想は・・・

スゴい!スゴすぎる!!

の一言に尽きます。
久しぶりに、アートを観て、心の底から感動出来た気がします (←アートテラーなのに?)
“神品” の称号は伊達ではありません。
これは、まさに屈指の名画。
4時間も5時間も並ぶだけの価値はあります。

さて、何がそんなにスゴいのかと言いますと。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-清明上河図


この縦24センチ×全長約5メートルの画面の中に、
北宋の都・開封の様子が、773人の登場人物とともに、ビッチリ細かく描かれています。
その超絶技巧は、人間技のレベルを超えています。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-清明上河図


これは、ほんの一部。
描かれている人物全員が、違う表情、違うポーズで、
一人一人に、ちゃんとドラマを感じることが出来るのが、何よりも素晴らしかったです。

さらに、この 《清明上河図》 は、
どこの場面を切り取っても、同じくらいに見どころ満載なのですが (←そこもスゴい)
強いて言うならば、一番の見どころシーンは、

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-清明上河図 橋


橋を壊さないように、慌ててマストを下ろす船員。
その様子を眺める見物人 (やじ馬)
この臨場感は、まるで映画のよう。
“今にも動き出しそうな” という表現が、しっくり来ます。


叶うのならば、1時間くらいは、じっくりこの絵を楽しみたかったですが、

「絵の前に立ち止まらないでくださ~い」

と、常にプレッシャーをかけられていたので、約2分くらいで観賞タイムは終了。
それでも、満足感は、大いに得られました。

「イイもの観られたし、帰るか♪」

くらいの気持ちになっていたのですが、
まだ美術展には、199選の作品が残っていました。

中国を代表する文人画の傑作 《水村図巻》 に、

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-水村図巻


こちらも貴重な作品 《康熙帝南巡図巻(一部)》

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-康熙帝南巡図巻


など、展示されていたのは、一級文物ばかり (日本でいう “国宝” に相当する美術品)


しかし・・・


最初に、 《清明上河図》 という、一級文物の中でも最高峰の物を観てしまった関係で、

《清明上河図》 の感動は、ないよね(´_`。)」

という悲しい観賞タイムになってしまいました。
これから行かれる皆様、是非、《清明上河図》 は最後に観ましょう!


それでも、絵画以外の作品に関しては、

《青磁瓶》

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-青磁瓶


《花卉存星盆》

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-花卉存星盆


《清明上河図》 と見比べることもないので、素直に感動。
当時、日本が憧れ続けた中国文化は、
ここまでレベルが高かったのだなと、畏敬の念すら抱きました。


《清明上河図》 をはじめ、
こんなにも貴重な美術品を、惜しげもなく貸してくれた中国に謝謝。
石景山遊楽園とか、パクリガンダムの件とか、いろいろと水に流したいと思います。
星星星


最後に。
清朝の皇帝で、 “名君” と謳われた乾隆帝の肖像画を。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-乾隆帝像


民に愛された皇帝だけあって、
口が、板野友美にそっくりなあひる口でした。
・・・どうしても、それが言いたかったのです。




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