森美術館が、今年の10月でめでたく10周年を迎えるそうです。
おめでとうございます!
ただ、それを聞いて、
「あれっ、開館から、まだ10年しか経ってなかったっけ??」
と思ってしまったのが、率直なところです。
森美術館は、間違いなく東京を代表する美術館の一つなので、
自分の中で勝手に、もっと老舗な美術館であるイメージを抱いていました。
むしろ、たった10年で、これだけのポジションを確立してしまったとは、ただただ驚きです。
そんな森美術館では、現在、10周年を記念して、
『愛』 をテーマにした “LOVE展:アートにみる愛のかたち” という美術展が開催中です。
ちなみに、森美術館のオープン記念として開催された美術展は、
『幸福』 をテーマにした “ハピネス:アートにみる幸福への鍵” だったとのこと。
『幸福』 の10年後に辿り着いたのが 『愛』 だなんて、なんとも洒落ていますよね。
さてさて、10周年記念の美術展だけあって、
その出展アーティストは、実に豪華すぎるラインナップとなっています。
ジョン・コンスタブルに、
《ブリッジス家の人々》 1804年 油彩、カンバス 135.9×183.8cm
テート蔵、ロンドン Presented by Mrs. Walter Bogue Bridges 1952 © Tate, London 2013
フリーダ・カーロに、
《私の祖父母、両親そして私(家系図)》 1936年
油彩、テンペラ、ジンク板 30.7×34.5cm ニューヨーク近代美術館蔵
Gift of Allan Roos, M.D., and B. Mathieu Roos. Acc. n.:277.1987.a-c.
© 2012. Digital image, The Museum of Modern Art, New York / Scala, Florence
シャガールに、マグリットに、ロダンに、ダリに…etc
美術史に名を残す巨匠たちによる 『愛』 にまつわる作品が続々登場する一方で。
草間彌生さんに、
作家名/作品名:草間彌生 《愛が呼んでいる》 2013年
この写真は「クリエイティブ・コモンズ表示・非営利・改変禁止2.1日本」ライセンスでライセンスされています。
ジェフ・クーンズに、
《聖なるハート》 1994–2007年
透過性カラーコーティング、高クロムステンレス鋼 364×213×122cm ピンチュック・アートセンター蔵、キエフ © Jeff Koons
撮影:木奥恵三 写真提供:森美術館
荒木経惟さんに、杉本博司さんに、オノ・ヨーコさんに、Chim↑Pomに…etc
現在活躍中の現代の巨匠たちや若手アーティストによる 『愛』 にまつわる作品も続々登場。
想像していた以上に、会場は 『愛』 に溢れていました (笑)
また、 『愛』 と一口に言っても、その種類は様々。
男女間の恋愛もあれば、失恋もあり、
隣人愛や人類愛もあれば、家族愛もありました。
『愛』 というテーマは、とても広義なため、
ともすれば、漠然とした美術展になってしまいそうなものですが。
今回の森美術館の “LOVE展” に出展されていた作品は、
制作された時代も表現も多種多様ながら、どこか根っこの部分で共通しているようなものがセレクトされており、
美術展全体を俯瞰して観た時には、実に上手く調和していたような気がします。
映画で例えるなら、19人の男女の様々な恋愛が描かれた 『ラブ・アクチュアリー』 のような感じでした。
(映画を観ていない人には、まったく伝わらない例えでゴメンナサイ)
ラブ・アクチュアリー [DVD]/ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン
¥3,990
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リアル元彼 (=会田誠) を公園でボコボコにするTANYの映像作品 《昔の男に捧げる》 (2002年) や、
アーデル・アービディーンによるhow to 恋愛ビデオ風の映像作品 《愛を確実にする52の方法》 (2006年) も、
それぞれ笑撃的でしたが。
マイベスト笑撃作品は、浅田政志さんによる 《浅田家》 (2004年~)という写真シリーズ。
《浅田家 「ラーメン屋」》 2005年 タイプCプリント 95×120cm
リアル浅田家 (父、母、兄、作家本人) が、上のラーメン屋のように、
消防士や極道など様々なシーンに扮し、セルフタイマーで撮影するというユニークな家族写真群です。
段々と回を重ねる (?) に連れ、皆がこなれていく様が面白いです。
ただ、特にお母さんがこなれすぎていて、
素人ならではの面白さが薄れているのは、ちょっぴり残念でなりません (笑)
ちなみに、今回の出展作品の中で最も感動したのは、
自分でもビックリですが、 《初音ミク:繋がる愛》 (2013年) というインスタレーション作品でした。
《初音ミク》 Illustration by KEI© Crypton Future Media, INC. www.piapro.net
正直に言いますと、この美術展で初音ミクが取り上げられると聞いて以来、
「あぁ~、これは、ネットのための話題作りかな」
と、イジワルなことを思ってしまっていたのですが。
実際に、《初音ミク:繋がる愛》 というインスタレーション作品を前にして、そんな邪念は吹っ飛んでしまいました。
初音ミクという架空のキャラクターに対するファンの愛は、どんな愛よりも本物だったのです。
映像で紹介されていたのは、 『ミクの日大感謝祭』 というイベントの模様。
これは、初音ミクが、大勢のファンの前で歌うライブイベント。
「いやいやいや、架空のキャラが、実際にファンの前でライブをやるわけないじゃんw」
と、普通の方は、思うことでしょう。
僕も思っていました。
しかし、ファンの愛が集まれば、そんな嘘みたいなことが現実になるのです。
僕は、初音ミクのファンでもなんでもないですが、
そんな僕が見ても、実際のライブ映像で初音ミクが登場し歌い始めた時には鳥肌が立ちました。
「バーチャルなキャラクターが、現実世界で歌ってるよ!!」
少しオーバーな言い方かもしれませんが、奇跡に近いものを感じました。
そういう意味でも、初音ミクとい存在は、
きちんと、今回の “LOVE展” の文脈にピタッと嵌っていたような気がします。
決して、話題作りのために紹介されていたわけではなかったです。
でも、そんな 《初音ミク:繋がる愛》 以上の強い 『愛』 を、今回の “LOVE展” で感じることが出来ました。
それは、これだけの数の 『愛』 が溢れる美術作品を集めた森美術館の “美術愛” 。
これからも、その “美術愛” でもって、
10年後も20年後も、今回のような素敵な美術展を開催し続けてもらえたら嬉しいです。
いろいろな 『愛』 に触れたおかげで、
「『愛』 っていいなーーー!!!」
と、鑑賞後に、六本木の中心で叫んでしまいました (もちろん心の中で)
そんな美術展。
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