Bunkamuraザ・ミュージアムが開館して、今年2014年でめでたく25周年 (おめでとうございます!)
それを記念して、今年は数々のBunkamura25周年記念の美術展が開催されるそうです。
その栄えあるトップバッターを飾るのが、
現在開催中の “シャヴァンヌ展 水辺のアルカディア ピュヴィス・ド・シャヴァンヌの神話世界” 。
フランスを代表する壁画家ピエール・ピュヴィス・ド・シャヴァンヌを、日本で初めて本格的に紹介する展覧会です。
壁画そのものをさすがに持ってくるわけにはいかないので。
展示のメインとなっていたのは、シャヴァンヌ自身が壁画を縮小し、絵画化した作品でした。
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております)
元が壁画だっただけあって (?) 、色調や立体感や陰影が抑えられているのが特徴です。
良く言えば、深い精神性のようなものが感じられますが、
悪く言えば、なんとなくのっぺりぼんやりした印象を受けました。
正直なところ、サラッと会場を回った段階では、
「こんな地味でぼんやりした美術展が、Bunkamura25周年記念でいいのだろうか・・・?」
と心配に思ってしまったのですが。
その後、この美術展を企画した学芸員さんの解説を聞く機会に恵まれたおかげで、
「シャヴァンヌ展こそ、Bunkamura25周年記念に相応しい!!」
と思えるまでに至りました。
まず何よりも学芸員さんの話の中で衝撃的だったのは、
この美術展を企画してから、準備期間を経て開催に至るまで、実に15年もの月日がかかってしまったということ。
その理由は、シャヴァンヌが壁画家であるからに他なりません。
冒頭でも触れたように、壁画そのものを持ってくるわけにはいかないので、
シャヴァンヌの代表的な壁画の縮小作品を所蔵している世界中の美術館と、地道に交渉を続けたのだそうです。
例えば、こちらの壁に並んだ3点の作品。
普通に見たなら、 「ふ~ん。」 としかならないかもしれませんが。
実は、この3点の作品の元となるのが、
リヨン美術館の階段に描かれた壁画作品で、対面に巨大なパネルで紹介されています。
この並びを完璧に再現するために、
カーネギー美術館、シカゴ美術館、スミソニアン・アメリカ美術館から、それぞれ作品を借りてきたのだそうです。
特に、中央の 《諸芸術とミューズたちの集う聖なる森》 は、
シカゴ美術館の至宝で、国外に貸し出されることのないほどの逸品。
もちろん日本初公開です。
《諸芸術とミューズたちの集う聖なる森》 1884-89年頃 油彩・カンヴァス
シカゴ美術館蔵 93.0 x 231.0cm Potter Palmer Collection 1922.445 Photography ⓒThe Art Institute of Chicago
この3点を揃えただけでも、十分すぎるほど頑張った気がしますが。
日本初のシャヴァンヌ展を最高の状態で開催したい学芸員さんのこだわりは、これだけに留まらず。。。
例えば。
女流彫刻家の邸宅のために描かれた4点の装飾画のうちの1点は、大原美術館が所蔵しているのですが。
《幻想》 1866年 油彩・カンヴァス 大原美術館蔵 264.0×147.6cm
他の3点は、オルセー美術館が所蔵しており、フランス政府が国外に貸し出すのを認めていないとのこと。
「あきらめたらそこでシャヴァンヌ展終了ですよ…?」 とばかりに (?) 、
個人蔵の別バージョンを借りてくるという徹底ぶり。
15年も準備期間がかかってしまったのも納得です。
シャヴァンヌの作品はクールなのに、シャヴァンヌ展に込められた想いは激アツでした。
何も知らないうちは、サラッと流し見てしまっていましたが、
まさに美術界のアルカディア (理想郷) のような美術展でした。
ちなみに、こちらの 《プロ・パトリア・ルドゥス(祖国のための競技)》 という作品も、
当初は、サラッと流し見してしまっていたのですが。
学芸員さんが、サラッと解説するには、実はもともとは1枚の作品で、
左側の方は、2年前に見つかったばかりの貴重な作品であるとのこと。
このシャヴァンヌ展の会場で、100年以上ぶりに2点揃って元の形に並んだと、サラッと仰っていました。
そこは、もっと推した方がいいです (笑)
最後に。
学芸員さんの解説の中で軽く衝撃だったのが、
実は、ピエール・ピュヴィス・ド・シャヴァンヌという名前のうち、
「ピュヴィス・ド・シャヴァンヌ」 の部分が名字であるとのこと。
シャヴァンヌと呼んでいるのは、なぜか日本人くらいだそうで、
海外では、 「ピュヴィス・ド・シャヴァンヌ」 を縮めて、 「ピュヴィス」 と呼んでいるのだとか。
ピュヴィス。
日本人には言いにくい。
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シャヴァンヌ展
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